皆さん、ありがとうございました。

 

 富岡西高演劇部同窓会を終えて

 

 何の変哲もない場所に人が集まり、照明が当たり、音が流れ、緞帳が上がり、役者が動き出すと、そこは人の心を動かす場所に変わります。こんかい懐かしい人たちと出会うことで、廃校を利用したスペースが、とても意義深い場に変わるのに驚いて、これこそ芝居みたいだなと思いました。

 

 あれはもうだいぶ前のことなのに、皆さんいい意味で全然変わってなくて、忘れていたことをいろいろ思い出しました。皆さんがセレクトしてくれた当時の写真やスライドショーには、ルーズソックスを履いたりしている高校生たちが、本当にいい顔をしてたくさん映っていて、改めてあの頃を実感しました。ああ、みんな、こんなにいい顔をしてたんだ、輝いてたんだと思うと、熱いものがこみあげてくるのを押さえることができませんでした。

 

 直前までは退職の実感もあまりなかったのですが、「陽の当たる教室」っていうちょっと古い映画で、R・ドレイファスという役者が演じていた「老」教師の姿を思い出して、それが脳内で自分に重なって、おい嘘だろと思わず独り言を口走ってしまいました。

 

 今回企画された方々、出席された方々はもちろん、ZOOMで近況を語ってくれた方々や、お気遣いいただいた方々、そして今回コンタクトできなかった方々も含めて、みなさんがトミニシ★エンゲキのかけがえのない一人ひとりであり、あの時全力で芝居に打ち込み、泣き、笑い、葛藤し、生きたことを今回改めて確認することができました。約10年間、それぞれ年度は違えど、皆さんと密度の濃い奇跡の時間を共有できたこと、思い出を共有できたことを、とても嬉しく思っています。

 

 定年退職を迎えましたが、フルタはまだ教員を続ける予定です。4月からは徳島北高での勤務です。ここは演劇部がない高校なので、少し寂しく思っています。ですが今回の凝りに凝った企画の数々、このような場をつくっていただいたこと、そして皆さんの心の中にトミニシ★エンゲキを残しておいていただけたことを心の糧として、明日からの日常を生きていこうと思っています。

 みんな、ありがとう。

                 古田彰信