イッツ・ショータイム


イッツ・ショータイム [VHS]

イッツ・ショータイム [VHS]


 過去のフィルムから、イヌやネコ、馬、サル、イルカなど、動物が出演している名場面を編集したサワリ集。映画「ザッツ・エンターテインメント」便乗企画。高校入学前の春、オイラが継続的に映画館で映画を見始めたきっかけになった作品で、個人的には記念碑的作品。


 ザッツ・エンターテインメントの公開が1974年、本作が1976年。柳の下のドジョウ狙いは明らか。「雨に唄えば」で踊るイヌのシーンが冒頭にあったりして、「ザッツ・エンターテインメント」のパロディという線は明らかに意識している。


 「ザッツ・エンターテインメント」は、1970年代当時、低調だったミュージカルを見直そうと、1950年代を中心としたMGMミュージカル全盛時代のミュージカルのスターを総出演させ、過去の作品を振り返らせた。過去の作品やスターに対する深い尊敬の念が感じられる。また、過去のミュージカル作品を現代の観客に知らしめようとした啓蒙的役割があったように思う。
 これに対し、「イッツ・ショータイム」は、動物の名場面なので、尊敬や啓蒙よりも、ほのぼの感が全開。動物の反射的動きを90分追い続ける、無思想で無邪気な作品に仕上がっている。ラッシーは賢く、リンチンチンは破天荒で、フリッパーは可愛らしい。
 思ったのは、サイレント作品からの紹介が多かった点だ。動物はセリフをしゃべれないから、サイレントによくなじむ。カラー時代になって、ドラマに取り込まれていくと、動物よりも出演している人間の方が主役という印象。


 おや、と思ったのはナレーション。若き日のロナルド・レーガンが役者として出演しているフィルムがあったが、ナレーションでは「〜大統領ロナルド・レーガン〜」といったように紹介されていた。ヴィデオのパッケージを見ると、発売が1993年。レーガンが大統領に就任したのは1980年だから、製作当時のナレーションではなく、あとで差し替えられたということ。
 ラストには、動物愛護の観点から、こうした映画は作られにくくなっている云々といったナレーションが入るのだが、これも差しかえられたのだろうか。


ザッツ・エンタテインメント [DVD]

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