選挙ウォッチャーになった

昨年度勤務していた高校の校誌に寄稿した。高校生向け。 執筆は2023年11月です。 選挙ウォッチャーになった 古田彰信 皆さん、お元気ですか。昨年地理を教えていたフルタです。県庁の、教育委員会人権教育課というところにいて、学校や先生をサポート…

「進路状況」を知りたがる人たち

徳島県立城北高校に勤務する大窪俊之先生に、寄稿いただいた。ありがとうございます。 ことのはじまりは、2022年10月20・21日、徳島新聞に「県内高校別2021年度卒業生の各公立大合格者数」と「私立大合格者数」の一覧表が掲載された。自分の知…

「高校別大学合格者一覧」への疑問

■徳島新聞に掲載された記事に対するフルタの見解を、徳島新聞「読者の手紙」に投書した。批判的な意見なので掲載が絶望的なのは百も承知である。だがスルーして済ませてしまえば、「できる高校」「できない高校」といった、単純化された学力に対する差別的な…

価値観の変更を迫る映画

■梅野正信「映画で見なおす同時代史」(静岡学術出版)はスゴイ。 たった142ページ、よくある映画紹介本と思いきや、そのコンセプトがスゴイ。「観た人の世界観・価値観が変わる」そんな映画を厳選して紹介している渾身の本なのだ。影響されて何本か観た…

日本泳法にこだわるワケ

■夏が来ると泳ぐことにしている。もっぱら海か川で泳ぐ。プールには、あまり行かない。 泳ぎは戦前生まれの父親から教わった。山村で育ち、川で培われた父の泳ぎは、独特かつ実践的なものだった。いわゆる「日本泳法」である。日本泳法とは、クロール、平泳…

抵抗の入門書が

■社会や制度に無自覚でいると、競争や選別の論理に流される。それに歯止めをかけるための、わかりやすい教科書的な入門書が、高校生には必要だな。 ■書こうとすると、気負いこんで書けなくなる。そういう時は、ただ世界を広く「眺める」に限る。7人の話を書…

医療と人権

■KAMEI Nobutakaさんのツイート。 ・治療は個人の権利であって、義務ではない ・「健康であること」の基準は、個人それぞれに設定されるもので、外的に一律に定めてはならない ・「望ましい健康状態」は本人だけが決められるもので、国家や医療機関を含む他…

ポメラ雑感

■テキスト専用入力機、ポメラ到着。7月29日に新型が出るそうだが、型落ち品を買った。 ネットにつながらないので、時間の浪費や誘惑から逃れられるのはいい。オイラの場合、ひと昔前の方が、腰の据わった、長くて深い文章を書いていた。環境を変えて、思…

松山商「やまない雨のシタで・・・」に驚いた話

2021年度の高校演劇の四国大会は、12月に松山で開催された。このとき上演された松山商業の作品についての劇評。大変心に残った作品でした。初出は「四国高演協だより」ですが、だいぶ改稿してみました。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■…

自分のペースで、ひとつずつ、ゆっくりと

数年前のクラス通信。高2向け3月号に書いた原稿が出てきたので、こっそりと公開しますね。もちろん高校生向けです。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 高3になる君へ 古田アキノブ 皆さん、いかがお過ごしですか? 4月から「高校3年」ですね。…

皆さん、ありがとうございました。

富岡西高演劇部同窓会を終えて 何の変哲もない場所に人が集まり、照明が当たり、音が流れ、緞帳が上がり、役者が動き出すと、そこは人の心を動かす場所に変わります。こんかい懐かしい人たちと出会うことで、廃校を利用したスペースが、とても意義深い場に変…

広い世界を見ようぜ■■金城一紀「GO」感想

勤務校の図書館が発行している「Library News」2021年10月号に、原稿を書きました。 7~8月に「高校生に贈る人権図書フェア」と言う展示をしたので、その流れで、金城一紀「GO」を高校生に向けて紹介しました。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 広い世…

豊かな真実を 生きてください

久しぶりに書きました。勤務校で発行する人権啓発新聞に掲載する予定の記事です。高校生向けです。 あなたの考える「真実」とは 何ですか 個人的なことですいません。これを書いている古田の家には、小学3年男子がいます。 近頃「名探偵コナン」が大のお気…

呪いの言葉にあらがう

本年度から人権教育係に復帰である。今年度は校内で「人権新聞」を発行している。この記事は7月発行の分。 前の学校でもよく似た文を書いたが、内容を一歩前へ進めた。 生きているかぎり、社会的な立場からは逃れられないが、教師だからといって、ことさら…

乱調夢想

2020年4月、徳島県文学書道館が企画した「瀬戸内寂聴作品の感想文コンクール」で優秀に選ばれた一文に、少し手を入れて掲載します。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 乱調夢想 自分は高校教員。いまは母校の城東高で勤務している。城東高の前身は、寂聴…

そして活性化の時代へ

こちらは2000年以降の徳島県高校演劇の状況を綴ったもの。「徳島県高校演劇70年のあゆみ」は、本年度秋の県大会時に会場に並ぶ予定です。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ そして「活性化の時代」へ 古田 彰信 ゼロ年代の動向 徳島県の高校演劇は、…

消えたクラス演劇、先鋭化した部活動「演劇」

今年度刊行予定の「徳島県高校演劇70年のあゆみ」に、1970年代後半から1990年代までの、徳島県の高校演劇に関する文を書きました。 昔のことを忘れないうちに。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 「拡大の時代」から「先鋭化の時代」へ ー1…

「読書という体験、そして勉強」

勤務校の「Library News 2020年3月号(310号)」に寄せた一文。高校生向け。「読書で得られるものって、かけがえのないものだよ」という内容。いつも自分はリベラルアーツの側に立ちたいと思っています。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 読書と…

学力テストの朝

学力テストの日の朝、教師っぽい説話をする。その採録。今年度は「今日は何の日」みたいな感じのことをよく話している。 「~するな」という感じだと、抑圧的になる。教員も35年以上やってると、そういう感じにも飽き飽きしている。 地理の授業では、恵方…

勇気を持ちなさい

クラス通信、生徒に対して書いた文章です。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 勇気を持ちなさい 「学校」の元々の意味を、皆さんは知っていますか? ギリシャ語の「schore(スコレー)」という言葉に由来しているそうです。このスコレー、実はギリシャ語では「ヒマ」と…

いっぱいいっぱいのカタチ

2008年5月に書いた拙文。城北高演劇部の牟岐公演を観て、この文章のことを思い出したので再録します。高校生のありようは、ひと昔前と変わってないですね。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ いっぱいいっぱいのカタチ 僕は、高校の演劇部の顧問をやるかたわら、大…

 「シラタマモの夢 さんごのうた」

19日、牟岐町海の総合文化センターにおいて、城北高演劇部による「シラタマモの夢 サンゴのうた」最終公演を観劇した。城北高の人たちが演じる「牟岐町の人々」は、ネイティブの方々に受け入れられるのか、観る前はいささか不安があった。だが200人を超…

地理教育における「批判的思考力」の育成

徳島県立城東高等学校 古田 彰信 二宮書店「地理月報/No.556」(2019.10.25発行)に掲載された拙稿「地理教育における「批判的思考力」の育成」をUPしました。中立性に配慮しながらも「教師として実践しなければならないことは断固やる」という、今のフルタ…

四国高校演劇祭20周年にむけて

ひとつではなかった 古田 彰信 20周年おめでとうございます。四国高校演劇祭は、最初は古田の働きかけによって始まりましたが、四国四県、とくに愛媛の皆さん、その中でも何よりも川之江(四国中央市)の方々の熱心な取り組みによって支えられてきた20年…

農業と天皇と柴刈りと

■オイラは人糞肥料を覚えている最後の世代。風呂も薪燃料の五右衛門風呂、というビンボー話に高校生はビックリするが、循環型社会は千五百年間、この間までそこにあったのだ。天皇一族だって稲作普及により支配体制を整えた。農耕はこのクニの基盤。だからオ…

65年前の高校生にできたこと

■1953年11月26日付、勤務校の校内新聞の高校生の論説を紹介する。校長会の横暴を校内に知らせ、日和見的な高校生の態度を批判し、学校に生徒自治に必要以上に介入しないよう釘をさす。本来なら高校生はここまでできるのだ。それを阻止しているのは何…

三木清に叱られる -読書のススメ-

皆さん、こんにちは。 賢明な皆さんですから「読書が役に立つ」ことぐらい、もうすでに知っていることでしょう。勉強に部活動に忙しくて読めないヨ、自由な時間がないヨという人もいるでしょう。そういう人に対して、一介の教師が、読書のススメを手垢のつい…

元号が変わる前に書き残しておきたいこと

■教師生活30余年。届や願を出す時には、元号を消して西暦で記入するスタイルで通してきた。公文書の元号使用には法的根拠がないにもかかわらず、用紙に元号が予め記されていることが、思想信条の自由への無言の圧迫だと感じて、それに抵抗してきたのだ。 ■…

青春は恋と革命だ!

勤務校の講演に来てもらいたいのは、大先輩OGである瀬戸内寂聴だ。体育館の全校生徒を前に「青春は恋と革命だ!」とアジテートする姿を夢想する。ラジカルな言葉こそ若者に響くだろう。 勤務校の図書館で「美は乱調にあり」を借りて読んだ。のちに大杉栄の…

三木清「学生の知能低下について」

■「今日の高等学校の生徒においては、彼等の自然の青年らしい好奇心も、懐疑心も、理想主義的熱情も、彼等の前に控えている大学の入学試験に対する配慮によって抑制されているのみでなく、一層根本的には学校の教育方針そのものによって厭殺されている」現代…