教育

価値観の変更を迫る映画

■梅野正信「映画で見なおす同時代史」(静岡学術出版)はスゴイ。 たった142ページ、よくある映画紹介本と思いきや、そのコンセプトがスゴイ。「観た人の世界観・価値観が変わる」そんな映画を厳選して紹介している渾身の本なのだ。影響されて何本か観た…

抵抗の入門書が

■社会や制度に無自覚でいると、競争や選別の論理に流される。それに歯止めをかけるための、わかりやすい教科書的な入門書が、高校生には必要だな。 ■書こうとすると、気負いこんで書けなくなる。そういう時は、ただ世界を広く「眺める」に限る。7人の話を書…

呪いの言葉にあらがう

本年度から人権教育係に復帰である。今年度は校内で「人権新聞」を発行している。この記事は7月発行の分。 前の学校でもよく似た文を書いたが、内容を一歩前へ進めた。 生きているかぎり、社会的な立場からは逃れられないが、教師だからといって、ことさら…

乱調夢想

2020年4月、徳島県文学書道館が企画した「瀬戸内寂聴作品の感想文コンクール」で優秀に選ばれた一文に、少し手を入れて掲載します。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 乱調夢想 自分は高校教員。いまは母校の城東高で勤務している。城東高の前身は、寂聴…

農業と天皇と柴刈りと

■オイラは人糞肥料を覚えている最後の世代。風呂も薪燃料の五右衛門風呂、というビンボー話に高校生はビックリするが、循環型社会は千五百年間、この間までそこにあったのだ。天皇一族だって稲作普及により支配体制を整えた。農耕はこのクニの基盤。だからオ…

65年前の高校生にできたこと

■1953年11月26日付、勤務校の校内新聞の高校生の論説を紹介する。校長会の横暴を校内に知らせ、日和見的な高校生の態度を批判し、学校に生徒自治に必要以上に介入しないよう釘をさす。本来なら高校生はここまでできるのだ。それを阻止しているのは何…

三木清に叱られる -読書のススメ-

皆さん、こんにちは。 賢明な皆さんですから「読書が役に立つ」ことぐらい、もうすでに知っていることでしょう。勉強に部活動に忙しくて読めないヨ、自由な時間がないヨという人もいるでしょう。そういう人に対して、一介の教師が、読書のススメを手垢のつい…

青春は恋と革命だ!

勤務校の講演に来てもらいたいのは、大先輩OGである瀬戸内寂聴だ。体育館の全校生徒を前に「青春は恋と革命だ!」とアジテートする姿を夢想する。ラジカルな言葉こそ若者に響くだろう。 勤務校の図書館で「美は乱調にあり」を借りて読んだ。のちに大杉栄の…

三木清「学生の知能低下について」

■「今日の高等学校の生徒においては、彼等の自然の青年らしい好奇心も、懐疑心も、理想主義的熱情も、彼等の前に控えている大学の入学試験に対する配慮によって抑制されているのみでなく、一層根本的には学校の教育方針そのものによって厭殺されている」現代…

いま1950年代を見つめる

■ここしばらく偏差値による選別体制の弊害を考えている。皆が受験体制に従属して、何とも思わずそれを受け入れていること自体がホラーだと思う。思えば教師の職場環境がブラック化したのも、高校生が過重な受験負担を強いられているのも、偏差値による選別体…

毎日何を伝えているのか

■日本の学校で、自分を見失わないように生きるのは至難のワザだ。職朝で伝達して下さいと言われる事項は、けっこう膨大な量で、クラスで伝達するだけで一苦労。各担当から言われたことを、そのまま伝えて終わり、ということもよくある。教師が咀嚼する時間が…

プールは教室のようだ。

■プール。オイラは海川メインの日本泳法の人なので、プールで競技泳法の人と同じコースで泳ぐと、クロールのペースにひっぱられて、少しオーバーペースになる。片抜き手でピッチをあげると合わせられるが、余裕が削がれ、しぼられる感じになることが多く、バ…

卒業式はいらない

「卒業式はいらない」に一票だな。少なくとも官僚的、権威主義的で形式優先の卒業式はNOだ。形式化された指導の一々が「お上をうやまえ」「かしこまれ」「さからうな」「(理不尽でも)言うことを聞け」と暗黙のメッセージを送る。生きにくさを醸成する社…

第70回徳島県高校演劇研究大会

高校演劇徳島県大会のスケジュールをUPする。例年同様、創作が多く、多様な作品が並ぶ。今年の注目は、今回初めて創作を手がける顧問の作品が多いこと。例年に増してラインナップに厚みが増し目が離せない。 第70回徳島県高校演劇研究大会 於県郷土文化…

研究授業を見た

地歴の研究授業。新学習指導要領を視野に入れた「指導主事的」な模範的授業。でも、生徒も教師も枠の中で一生懸命やるだけでは、課せられてる枠組みを批判する力は育たないよなあと思う。オイラ11月に県教委の前で授業をするが、県教委の意向はともかく、…

かすんでいく大切なこと

学校現場に「あれも、これも」といろいろな「教育」が入ってくる。現場でそれまで大切だとされてきた、人権や平和や民主主義を守る取り組みが軽視され、ひそかに浸蝕されている。学校は人権を教育目標に掲げながらも、人権について全く語らない教師の欺瞞に…

心に残ることば

世の中には「あなたはあなた、変わらなくていい」と「そのままじゃだめだ、戦え!勝て!成長しろ!」って価値観は溢れてるんだけど、何でそんなことを他人に言われなきゃいけないのか。もっと「自分は自分で生き抜くしかないし、さてお互いどうしましょうか…

「物言う管理職」「物言う県教委」に

「ロボットになりきりコンテスト」はいらない。平教員ももちろんだが、管理職こそ「物言う管理職」であってほしいし、教委にも「もの言う教委」であってほしい。定型句や伝達だけではなく、自分を起点にして語るという意味においての「もの言う」である。心…

沖縄から世界を見れば

よく、日本の真東は「ブエノスアイレスの沖」とか言われるが、「ブエノスアイレス沖」は正しくは「東京の真裏の点(対蹠点)」であり、そこは真東であるが真西でも真北でも真南でもあると言える地点である。ブエノスアイレスじたいは、たとえば那覇から見れ…

出る杭は打たれる

やる気がある(と校長が見なした)教員がピックアップされる。激務が課される。淡々と仕事をこなした代償として、栄転や昇進が約束される。その過程で、必要なのは「逆らわないこと」だと囁かれる。こうして、物言わぬ牙を抜かれた腑抜けの教師ができる。管…

考えるな。感じるんだ。

演出家は、演じることを「楽しめ」というけれど、完全に役に没入している状態では、自分自身の状態に対する感覚は低下していて、むしろ演じている瞬間には、「我を忘れている」状態が理想的状態だと思う。まあ舞い上がりがちな役者をリラックスさせるために…

自主規制するシステム

遠くのことは批判できても、自分の所属する組織は批判しにくい。非民主的な組織では、構成員が自主規制し、管理側も耳を貸さないシステムができあがっている。なりたちから歪んでいることが多く、足元が変えられない。オープンな組織の方が、リスク回避もし…

「暗渠2.0」ご挨拶(8月25日ヨンデンプラザ徳島)

民衆を導く暗渠の女神 「暗渠2.0」のセリフの多くの部分は、藤川里恵さんという、社会運動に力を入れている、実在の人の言葉で構成されている。藤川さんは、オイラがかつて顧問だった城北高演劇部OB。2015年の終わりごろ連絡がきた。「スピーチをす…

四国大会講評文

ゆらぎの二日間 古田彰信 難しい。四国大会の審査を担当しての感想を一言でいえば、それに尽きた。審査の意味を改めて考えさせられた。 大会前はもっと安易に考えていた。なあに自分の基準にしたがって順位をつけるだけのこと、確かな演劇観さえあればブレる…

2016年度 高校演劇この一年 アンテリジャンス

徳島県の高校文化部活動を総括する「高文連」誌、2016年度版の演劇部門のページの巻頭言として、今年も事務局長の吉田道雄先生が渾身の文章を書かれています。吉田先生の許諾を得て今年度もここに転載します。 すぐに消費されていく数多の表現とは、次元…

人権啓発新聞を書く

思ったより長くかかった。校内人権啓発資料。新聞として掲示する予定。「クラス全体で人権問題について考えるのって、意外に難しいんですね」という部分は、教師に向けたメッセージです。 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ ふと 目を止めてくれた あなたへ まず…

第41回四国地区高等学校演劇研究大会(徳島大会)速報の文章(一部改)

高校演劇四国大会ネタを少し。 大会は今年度で41回目、「中四国大会」と合わせると54年の歴史。最初の大会に出場した高校生は、すでに70歳以上になる。 過去「文部科学大臣奨励賞(文部大臣奨励賞)」の各県別受賞回数は、次の通り。 1 徳島 22回 …

哲学のまなざし

よいこと あたりまえのこと わかりやすいこと 皆が賛成することこそ 疑う。 わからないもの 理解できないもの 関心のないものこそ 見つめる。 そういうもののなかに 重要なことは ひそんでいる。

徳島県高等学校人権教育学習資料集「じんけん」2016年度版

徳島県で高校にいる人なら、誰でも知っている人権教育資料集「じんけん」。 今年度分の本ができて、勤務校にも届きました。 ぜひ手に取ってみてください。 歴史的改訂です。 オイラもいろいろと書きました。 巻頭言。「親愛なる あなたへ」と題して、目の前…

〜春季全国大会の振り返り〜「研修があったから2週間遅れだけど」

城北演劇部イズムの後継者、ナナミンの春季全国大会の振り返り。 ナナミンは2つ上の先輩モリちゃんを手本とし、3年間活動を続けた。3年生の時も、夏公演、県大会、四国大会、そして春季全国大会と、2015年度の演劇部の活動にフル参加。演劇に正面から…