徳島県高等学校人権教育学習資料集「じんけん」2016年度版


 徳島県で高校にいる人なら、誰でも知っている人権教育資料集「じんけん」。


 今年度分の本ができて、勤務校にも届きました。
 ぜひ手に取ってみてください。
 歴史的改訂です。




 オイラもいろいろと書きました。
 巻頭言。「親愛なる あなたへ」と題して、目の前の「あなた」に向けて、あえて二人称で呼びかけています。


人権はあなたとともにある。あなたの日常に息づいていて、あなたを守ってくれている。そんなメッセージをこめたつもりです。


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 親愛なる あなたへ


 この本を手に取り、開いてくれてありがとう。まずはあなたにお礼を言いたいです。


 この本が最初にできたのは、1974年。はじめは「同和問題学習資料集」という名前でした。その後、毎年少しずつ手が加えられ、今の形になりました。たくさんの人が、この本を使い学んできました。ひょっとしたら、あなたのおとうさんやおかあさんも、この本で学んだのかも知れません。そして今。あなたはそうした積み重ねの上にいるのです。

 
 人権は、日常生活の中に息づいています。


 たとえばあなたは、思ったことを口にしたり、自由に勉強したり、好きな服を着たり、好きな本を読んだりできます。そうできることを、あたりまえだと思っています。しかし、昔からあたりまえだったわけではありません。かつては、思ったことを口にしただけで、逮捕されたり拷問されたりする社会が一般的でした。多くの人たちが、苦しさの中から血のにじむ努力を積み重ね、差別や偏見と粘り強くたたかってきた積み重ねがあったからこそ、あなたは今当たり前のように自由を謳歌できるのです。


 想像してみてください。誰もが笑いあえる社会。差別のない世界を。


 そうした社会は、一人の力で実現できるものではありません。多くの人の積み重ねによって作られるものです。そして、あなたも、そのなかの一人なのです。


 人権とは、誰かに与えられるものではありません。私たちが作り上げていくものです。そうした努力なしに自由を手にすることはできません。何もしなければ、何も変わりません。むしろ悪くなることすらあります。


 人間が人間らしく生きるために、人権が当たり前に尊重される社会を作っていく、残存する差別や人権侵害をなくしたい、そういう思いとともに、この本は作られました。


 この本を手に取ることは、あなたの大切な一歩であり、みんなの一歩でもあります。


 この本があなたの役に立てば、とても嬉しく思います。


 さあ、始めましょう。


          2016年4月 
          徳島県高等学校人権教育研究会