部落解放同盟中央本部「「週刊新潮」(2011年11月3日号)の掲載記事および新聞広告に関する抗議文」解放新聞2011年11月28日


 部落解放同盟中央本部は、週刊新潮と、同様の記事を掲載した週刊文春に対しても抗議文を送付した。それにしてもマスコミの下劣さには、つくづく怒りを感じる。二誌は、個人をおとしめる手段として、人々の部落差別意識を利用しているのだ。これが許されたら、もはや何でもありだ。看過してもいいことと、いけないことがある。


 (以下引用)
「「週刊新潮」(2011年11月3日号)の掲載記事および新聞広告に関する抗議文」解放新聞2011年11月28日


  私たち部落解放同盟は、部落差別撤廃をはじめ、あらゆる差別問題・人権問題の怪傑をめざした取り組みをすすめており、各方面の皆様方とも、機会あるごとに真摯な論議をさせていただいているところです。
 さて、今回、「週刊新潮」(2011年11月3日号)の「『同和』『暴力団』の渦に呑まれた『橋下知事』出生の秘密」の特集記事で、橋下徹・前大阪府知事について、「この土地こそ、橋下知事の父、之峯氏が生まれ育った街。そして江戸時代に起源を持つ、被差別部落が存在する一帯である」などと、『新潮45』に上原善広名で掲載されたルポやインタビューなどを元にしながら、橋下徹・前大阪府知事の出生だけでなく、本人の家族・親戚などに出自を掲載しています。


 今日、いまだに結婚や就職での差別事件をはじめ、土地差別調査、インターネット上での差別情報の氾濫、戸籍・住民票の不正取得事件などでも明らかなように、部落差別がいまだに温存・助長されているのが日本社会の現状です。今回掲載された記事および新聞広告が「同和」と「暴力団」を結びつけ、「出生の秘密」という煽動的な見出しに示されているように、本来のマスコミ報道の使命でもある、これまでの橋下徹・前大阪府知事の実績の評価や検証ではなく、出生や出自を暴くことで、読者の関心を集めることが目的で書かれたことは明白であります。現代社会でいまだにマイナスイメージで語られることの多い部落出身であることを認知しながら、しかも「暴力団」と結びつけることによって、そのことを強調するためだけに書かれた今回の記事の掲載および新聞広告は、まさにこれまでの部落問題の解決にむけた取り組みに逆行するものであります。


 私たちは、橋下徹・前大阪府知事の行政手腕やこれまでの業績を決して肯定的に評価するものではありませんが、今回の掲載記事および新聞広告が、部落差別の今日的な実態を全く無視し、部落差別を温存、助長、煽動する悪質な内容であることに強く抗議するとともに、貴社の見解を求めます。