「もりまさえ一人芝居」Vol.3」のプログラムから「ゆるい口上」



 明日公演の「もりまさえ一人芝居Vol.3」のプログラムから。言わば「ゆるい口上」です。


 「無意識のこと」

    
 ふと読んだニュースが、なぜか気になって忘れられない。
 南極大陸東部の海岸にすむアデリーペンギンの群れが巨大な氷山に通り道を閉ざされ、これまでに約15万羽が死んだそうだ。
 面積は約2900平方キロ、「B09B」と呼ばれている氷山。20年近く漂ったあげく、2010年に、ペンギンの棲む地域に漂着した。ペンギンはえさを取りに行く道を閉ざされてしまい。かつては16万羽だった群れが1万羽まで減っているという。
 何といっても氷山の大きさに圧倒される。面積約2900平方キロというのは、徳島県の約4分の3だ。それが20年近く沿岸を漂っているなんて! しかも姿を見せている部分はほんの一部で、氷山の9割は、海中に没しているとのこと。どれだけ大きな氷山なんだB09B! 

    
 オイラは、たちまちそのイメージの虜になる。死滅するペンギンにもドラマがあるのだろうか? きっと別れと悲しみのドラマがあるに違いない。ペンギンのドラマかあ……いつか芝居にできるだろうか……そんなことを想像しながら、オイラは今回の2本の芝居を作ったのだった。まあ無意識でモチーフがゆるくつながっている程度の話ではあるが、すぐれた芝居は、そうしたイメージが、目に見えないところに何層にもわたって重なっていることが多い気がする。
   
       
 無意識ってスゴイ。芝居作りの共同作業の過程で、思ってもみなかったようなテーマやモチーフが何人ものアタマから沸き出してきて、新たなイメージを作り上げ、厚みを増し、いつも思ってもいなかったところに着地する。これが芝居作りの醍醐味だとオイラは思う。
 芝居って極めてロジカルに作られるものだけれど、説明できなかったり、わけがわからなかったりする皆のイメージこそを、あえて大事にしたい。そんな思いで、この芝居を作りました。
 では、ごらんくださいませ。


https://twitter.com/frwf_r/status/705025825335193601