ガソリン首都圏で買いだめ


水やガソリン…首都圏で買いだめ 被災地に届かぬ恐れ
2011年3月15日3時3分(asahi.com

 被災地以外の地域で、消費者が水や食料、ガソリンなどを必要以上に買う動きが出ているとして、政府は14日、各省庁の担当者を集めて物価担当官会議を開いた。便乗値上げは確認されなかったが、首都圏を中心に消費者の極端な「買いだめ」が起きていることが報告され、蓮舫消費者担当相は、冷静な対応をとるよう呼びかけた。

 会議では、経済産業省の担当者がスーパー大手から聞き取ったデータを紹介。13〜14日にかけて首都圏の店舗からの発注量は、水が通常の10倍、納豆が2〜3倍、豆腐が1.7倍、牛乳が1.5倍にはね上がった。売上額だと、鶏肉が9倍、缶詰が3倍、大型ペットボトル飲料が1.8倍、コメ1.6倍に。食料品以外でもガスコンロの売り上げは6倍、自転車が3倍、マスクが2.5倍に上ったという。他の大手スーパーもおおむね同じ傾向だという。担当者は「一部の商品が品切れにならなければ、もっとふくらんだ可能性が高い」と指摘した。

 東京都内のガソリンスタンドに客が殺到し、混乱した例も報告された。経産省の説明では、原油は国や民間企業の備蓄などで約200日分の在庫がある。6製油所が震災で稼働停止となり、国内の精製能力はいつもの70%に落ちたが、うち3製油所は今週から来週にかけて復旧できる見通しで、十分な供給量を確保できるとしている。


 道徳的非難より不安心理の解消を


 ガソリンの買いだめをするには、金属製容器が必要である。ポリタンクに給油することは禁じられている。金属製容器を持っている人は一部である。つまり、買いだめしようと思っても、普通の人は、満タン以上のガソリンは手に入らないのである。


 満タン給油をすることを「買いだめ」と言ったら、ドライバーがかわいそうだ。ガソリンがなければ仕事に差し支える人も多いだろうに。それに、すでに給油制限が行われていて、ドライバーは満タンにすらできないと聞く。


 確かに、自動車が大挙スタンドにつめかけたことは、ガソリン・軽油等逼迫の原因のひとつだろう。関東のガソリンスタンドには長蛇の列ができているという。しかし、東日本の製油所がダウンしていることが根本的な問題なのである。「買いだめ」などという言葉を使うと、多くのドライバーが、利己的行動に走っているように聞こえる。あまり感じがよろしくないうえ、メディアが混乱を増幅することにつながる。


 ガソリンスタンドの混雑については、先の見えない不安感や、政府に対する不信感が増幅しているから、関東でもガソリンを入れておこうということになるのだろう。不安心理を取り除くことが重要である。政府が備蓄義務量を下げたうえで、石油連盟が供給見通しを発表し「協力してほしい」と言えば、ほとんどの日本人はそれに従うのである。