スーパー8
SUPER 8/スーパーエイト ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- 発売日: 2011/12/02
- メディア: Blu-ray
- クリック: 40回
- この商品を含むブログ (56件) を見る
7/5のエントリーに少し書き足した。ネタバレあります。
「スーパー8」って、8ミリフィルムの種類なのね。当時、サクラカラーとコダックがスーパー8で、フジフィルムはシングル8。映画愛は分かるが、冷静に考えたら身も蓋もないタイトル。「VHS」みたいな感じか?
スリーマイル島のニュースがテレビで流れていたので、時代は1979年。チラっと見えたソニーのウォークマンの登場が同じく1979年。そのころ、オイラも8ミリ映画を撮っていた。
フィルムは結構高かったし、現像代もかかった。現像されるまで撮影の出来がわからないので、ドキドキしながら現像ができるのを待った。この映画の子供たちは、とても贅沢にフィルムを使っていて、うらやましく思う。
テーマは「父からの抑圧」
オイラがこの映画に驚いたのは、主人公が「ゾンビやモンスターに共感する少年」である点だ。しかもエイリアンはクモ型。人を誘拐し食らう。「モンスターに共感する子供」という設定には先例もあるが、ここまで異形なエイリアンに共感する例は少ないだろう。さらに少年たちが作っている映画は、ゾンビ映画と来ている。
「モンスターに共感」は、ドラマのキモであるため、設定など周到に作りこまれている。主人公の少年の母親は炭鉱事故で死亡した。喪失感で満たされた少年は母親に生き返ってほしいと願っている。父親は警察官で、ゾンビ映画製作に熱中する息子を苦々しく見ている。ゾンビ映画よりも野球。しかし、少年にとって野球は苦痛でしかないのだろう。
その姿にオイラは自分の少年時代を見た。現実にうまく適応できなくて、フィクションの世界に遊び、モンスターが、町を踏み潰したらいいと夢想した少年時代。SFを読みホラーを読み、ミステリに耽溺した十代後半。映画を作っていた頃。親は「くだらない本など読むな」と口癖のように言った。
ヒロインの少女、エル・ファニングの固い表情も魅力的だ。父の干渉から自分を素直に表出できないナイーブな感じが絶妙。奇しくもふたりに共通するのは「父からの抑圧」。それを共有する者同士だから、ふたりは引かれ合うのではないか。おずおずと進む心の触れ合いが好ましい。
日本の商業映画なら、このような企画は、まず通らないだろう。ネクラなオタクが集まって、ゾンビ8ミリ映画を作る映画である。主人公はマザコン。おそらく女性は見ないし共感は得られない。世間に迎合するだけではなく、メジャーな映画でありながら、プライベート性を濃厚に残した表現に好感を持った。
映画の内容は、スピルバーグが撮るよりもさらにスピルバーグ色が濃い。宇宙船の発進で幕を閉じるラストなど、モロ「E.T」。それぞれのシーンの密度が濃く、二番煎じという感じはまったくしないが、オリジナリティの面からは少々疑問に思う。