トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン



 人気シリーズ第3弾。地球外金属生命体ディセプティコンの地球侵略を防ごうとするトランスフォーマーたちの活躍と、人類の奮闘を描く。監督マイケル・ベイシャイア・ラブーフ、ジョン・タートゥーロ、ジョン・マルコヴィッチフランシス・マクドーマンド


 日本発のロボットアニメを、アメリカ人が作ったら、ボリュームたっぷりの、こってりとして濃厚なテイストになった。その破壊っぷりのすざまじいことと言ったら! ぶっ壊しの迫力とスケールの大きさは、さすがハリウッド製。精密なCGと、結構立体的に動き回るカメラワークに唖然とさせられた。これだけの金をかけ手間ヒマをかけ、ビッグ・プロジェクトをなしとげたスタッフワークの経験の蓄積と粘り強い仕事に、オイラは素直に脱帽する。破壊も芸のひとつですね。


 車が擬人化されているのは、「カーズ2」とも重なる。男子の車の所有願望とヒーロー願望に忠実に作られており、セクシー美女が出てくるのも、その意味で必然。男子の欲望充足映画、妄想映画として、これでもかと言わんばかりにサービス満点である。


 しかし、である。金属生命体が車に化ける必然性は、もはやない。1作目では、人目を忍ぶカムフラージュのために車に化けるという、止むに止まれぬ理由があった。本作では、金属生命体の存在を一般市民に隠しておらず、トランスフォーマーたちは、あっけらかんと自分たちの姿をさらしている。移動も車だと渋滞があったり、瓦礫の山を乗り越えるのが困難だったりと、車は案外不便である。車であることは、戦闘時はマイナスに作用すると思うのだが。



 意志を持つ車を描く映画はたくさんある。「ナイトライダー」「ラブバッグ」なんかもそうである。ジョン・カーペンター監督のこの作品は、スティ−ブン・キングの映画化としては決して上出来ではないが、カーペンターの無機的な語り口が車の無機的な印象と重なり、変に印象に残っている。