週刊エコノミスト 2011年10月18日号 古賀茂明「闘論席」
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元経済産業省官僚で官僚制批判を続ける古賀茂明氏が、週刊エコノミスト2011年10月18日号の巻頭で、次のように述べている。
復興増税が実現してしまうのか。
増税しないとギリシャになってしまうぞ、将来世代にツケを回すな、と財務省主導内閣が叫ぶ。
しかし、この増税オンリー路線こそが、実はギリシャへの道なのだ。ギリシャは行政・歳出改革をせず、公務員改革・リストラをせず、成長のための民営化や規制改革を怠ったまま、消費税だけは着実に上げてきた。消費税率は20%に達したが、財政破綻が目前に迫る。今ごろ歳出カットやリストラをしても、市場はギリシャに弁済能力がないことを見切っている。最大の問題は、ギリシャには成長が期待できず、肝心の税収増が見込めないことだが、今さら構造改革をしても手遅れだ。
日本はどうか。国会議員の歳費毎月50万円カットが9月末で終了。国会は閉じられ10月から満額支給となる。
民主党が09年衆院選のマニフェストに掲げた公務員人件費2割削減。実現すれば10年で10兆円超が浮くが、財源として見込まないという。あきらめたも同然だ。某省の次官や局長は東京都心一等地の高級官舎にタダ同然で住んでいる。2000万円の高給をもらってもさらに国に住居費をたかる。給料の中から十分に払えるはずなのに。一般企業で役員に社宅がある企業は珍しい。恥ずかしくないのだろうか。
そして、政府の新成長戦略。有望分野として掲げる農業、医療、再生可能エネルギー。いずれも普通の企業が自由に活動することが許されない分野だ。資本主義、自由主義の日本で。農協、医師会、電力業界という強力な既得権グループと「戦う成長戦略」こそ必要だが、自民党にはできなかった。そして民主党にもできないことがはっきりした。強者を守り、最も弱い消費者と戦い、消費大増税へひた走る。その先に待つのはギリシャへの道だ。
短い文章だが、今の日本の政治の問題点を端的に指摘している。行政・歳出改革も公務員制度改革も行なわず、増税を既定路線として突き進む政府。なのに、正論を唱える古賀氏が経済産業省を追われ、国民の声を代弁すべき声は、かき消されてしまう。ならばせめてオイラが古賀氏の声を拡散しよう。今やらなければならないのは、公務員制度改革である、と。
- 作者: 古賀茂明
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