「エレクション 〜死の報復〜」

エレクション~死の報復~ [DVD]

　わけあってジャッキー映画に引き続き香港映画。ＤＶＤスルーなのでＤＶＤ鑑賞。低迷が続く香港映画界において、スタイリッシュで刺激的な作品を作り続けるジョニー・トーの２００６年作品。権勢欲のないインテリヤクザが、権力争いに巻き込まれて狂っていく。
　香港黒社会を扱った映画でありながら、そして人がガンガン死ぬ映画でありながら、このシリーズは銃がいっさい使われない。それがスタイルとしてよく生きている。「あえて使わない」という制約を生かす試みは、スタイリッシュでとても面白い。
　この映画、残酷シーンが強烈に残酷なのだが、単に血が飛び肉が裂けるから残酷なのではなく、抗争と殺戮が、人間の持つ原始的かつ本能的な業として描かれているからコワイのである。「１９１１」が、「プライベート・ライアン」ばりの戦闘シーンをてんこもりにして、散漫な出来になってしまったのと、好対照である。