「エグザイル/絆」


エグザイル/絆 プレミアム・エディション [DVD]

エグザイル/絆 プレミアム・エディション [DVD]


 ジョニー・トー監督作品と言えばこちらも傑作。だいぶ前に劇場で見た。


 映画の中のシブい男たちに、すっかりノセられて、映画館を出る頃にゃ、オイラ、カンペキ調子に乗って、登場人物になりきった(つもりになった)。立ち振る舞いがうつっちまって、家族にはウザイからヤメロと言われちまったぜ(恥)。
 主人公たちの行動規範や映画のスタイルのストイックさ、これぞ男の映画という感じで、実にカッコいい。美学の映画だねェとつくづく実感。


 そして、これ、無意識にズンとくる。
 まず、閉所感のある、人工的な場面設定。そしてスローモーション。現実とは微妙に違うサマが、まるで夢を描いた現代絵画のような感じがする。
 また、登場人物は無口。無表情。説明を廃した語り口。観客の想像力や解釈力をかきたててやまないしかけ。そして、突然噴出する生々しい暴力。これが、観る側の無意識の深いところにある衝動を、ぐいっと刺激する。
 例えば、北野武の映画を想起させる、とても印象的な暴力描写。

 
 全体に漂う死の影。荒涼たる観音山は地獄めぐりのよう。フロイト的に解釈できそうなアイコンが豊富で、見ごたえあり。くれぐれも、ハリウッドで変なリメイクはしないでください。