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世界のエリートがIQ・学歴よりも重視!  「レジリエンス」の鍛え方

世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方


■■■■イライラしてもしようがない■■■■


 久世浩司さんという人が、海外でけがをして、一晩だけ現地の病院に入院することになったときの話です。


 相部屋になった人が、とてもさわがしかったそうです。言葉は外国語なのでよくわかりませんでしたが、大きな音でTVをつけて、見舞いにやってきた家族とわいわいおしゃべりをし、それが絶え間なく続いたとのことでした。


 久世さんは、イライラしてしまいました。「非常識な人たちだ」と思い、強い怒りを感じたそうです。


 ところが、あとでさわがしかった理由がわかりました。患者は、耳の障害を抱えた子どもだったそうです。大手術をひかえていたため、家族や親戚がはげましに訪れていたとのことでした。大きな声でTVを観ていたのも、親が子供の関心を手術以外のことに向けさせる工夫だったのです。


 それを知って、久世さんは、イライラがすっと収まったそうです。「子どもなのに入院して大変だな」と思えてきたのでした。


■■■■刺激と反応の間にはスペースがある■■■■



 久世さんは、最初「さわがしい」という不愉快な状況に、ストレートに反応してイライラしてしまいました。「うるさい=非常識な人たち」という思いこみにとらわれて、人にはそれぞれに事情があることに、思いが及ばなかったわけです。


 刺激にどう反応し、どんな感情を持つかは、実は本人の選択です。不愉快な出来事が起こっても、冷静かつより客観的に物事を見ることができれば、平然と構えたり、逆境を楽しんだりすることもできます。こういう姿勢の取れる人は、逆境に負けない、しなやかで頼もしい人です。


 ベストセラーになった「7つの習慣」を書いたスティーブン・R・コフィ博士は、次のように言っています。
 「刺激と反応の間には大きなスペースがある」


 思い込みや偏見に支配されていると、このスペースが見えなくなります。そうなると、ひとは自動的に形成される怒りや不安といったマイナスの感情にとらわれてしまうのです。


 イライラしても、得なことはありません。日常生活のなかで、そうなりそうなときこそ、冷静になって、自分が思い込みにとらわれていないか、反射的に反応することでマイナスの感情が生じていないかなど、状況や心のありようを客観的に見直してみるといいと思います。


 (この新聞の内容は、久世浩司「レジリエンスの鍛え方」(実業之日本社)を参考にしています)