週刊エコノミスト2011年6月11日「脱原発の本命−ガス復権」電力危機で黄金時代へ


エコノミスト 2011年 6/21号 [雑誌]

エコノミスト 2011年 6/21号 [雑誌]


 昨日のエントリー「国民にガスによる自家発電はさせない経済産業省」とも関連して、週刊エコノミスト2011年6月21日号の特集「ガス復権」を読んだ。


 東日本大震災後、自然エネルギーが脚光をあびてきた。しかし、高い発電コストや供給力への不安から、ただちに原子力発電に変わるのは難しい。このため、過渡的なエネルギーとして有望なのが、天然ガスであるというわけだ。


 特集のPart1は「電力会社との戦い」。東京ガスにとっては、今こそ電力事業を拡大するチャンス。しかし、特集を一読した印象では、東京ガスは、東電の牙城を崩しにいく積極性を、まったく持っていないように思われた。挑戦者は「戦意なし」である。


 理由はいくつかあろう。ひとつは、電力会社の送電線の高い使用料。東京ガスの電力は割高になる。これが最初からハンディになっている。また、海外からLNGの追加調達を行うにも、最低でも5年はかかるとのこと。価格変動のリスクもある。安定的な供給が確保できるか不安がある。


 また、松崎隆司「東京ガスのジレンマ−東電に対抗する最大のチャンスで勝負に出ることができるか−」には、こんな記述がある。


 ・・・・東京ガスは横須賀パワー(総出力23万9000キロワット)で発電された電力をはじめ、かなりの量の電力を東京電力に供給していると見られる。さらに品川火力発電所など東電系の発電所にLNGを供給している。実はこの都市ガス販売先として最大の顧客が東電で、販売量の約1割を占める。
 電力会社との取引は長期契約となるため安定収入となる。これを失えば、大きな収益源の損失につながってしまう。関係者の一人は「東電は有力な取引先だから頭が上がらない。そこが強気に出られない理由ではないか」と指摘する。


 つまり、東京ガスにとって、東京電力は、最大の顧客というわけ。これではコンテンダーになることはできない。東京ガス東京電力に取り込まれているのである。