「国民にガスによる自家発電はさせない」経済産業省



 東日本大震災以降、計画停電や電力不足が不安な影を落とす。一般消費者も不安を抱えている。


 そこで注目されているのが、エネファームエコウィルと呼ばれる、家庭用コージェネレーションシステム。これは、都市ガス・LPガスなどから家庭で自家発電を行い、発生する排熱も給湯などに利用してしまおうというもの。「ガスから自家発電」というところがミソで、停電になったときのバックアップ電源として使えるのではないかと、問い合わせが殺到しているそうだ。
 http://home.tokyo-gas.co.jp/ecowill/index.html
 http://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm_special/ エネファームエコウィル紹介ページ(東京ガスのHPより)


 しかし、エネファームエコウィルも、停電になると、実は自動的に停止してしまう。これはモーターが電力会社からの電気で動いているため。せっかくガスで動く製品なのに、バックアップ電源としては、まったく使えない中途半端なシロモノ。
 今回の計画停電で、初めてそれを知らされたユーザーからは「高価な湯沸かし器にすぎない!」との声もあがっているという。


 だが、これは技術的な問題ではないのだ。こういう仕様になっている裏には、政治的理由が存在する。電気事業法の関連省令が、ガスによる自家発電を阻んでいるのである。HP「家庭のエネルギー選択Navi」によると「現在の電気事業法では、自家発電装置については、停電時の現場作業員の安全確保のために、家庭からの電気の逆流が起きないよう、逆支弁を取り付けるように定められており、さらには停電時の発電の禁止を謳っている」とのこと。http://family-eco.com/entry46.html


 なるほど。ここから電力会社とガス会社、経済産業省の力関係が透けてみえる。ガス事業者は経産省の許認可事業。経産省の官僚には逆らえない。これに対し電力会社は企業規模も大きく、天下りも多く受け入れている。ゆえに法律からして、電力会社の利益を守ることが優先されてきたということか。



 そのために、電力供給を電力会社に握られ、停電時のバックアップ電源を持たない状況が生まれている。電力会社の利益のために、国民の利益が侵害されているとも言える。このことは、もっと取り上げられてもいい問題だとオイラは思う。