反韓・嫌韓の風潮の昨今、韓国からの「恩返し」。


 週刊ダイヤモンド2011年9月3日号より。韓国からの「恩返し」。何でもかんでも韓国のこと悪う言うだけではアカン。

 韓国のLNG調達にメドも 予断を許さぬ価格上昇リスク


 東日本大震災で高騰したLNG(液化天然ガス)のスポット価格が、上昇を続けている。東アジア向けのスポット価格は震災直後、原発停止に伴う日本での需要急増を受け、震災前んの100万Btu=9ドル台から約12ドルまで跳ね上がった。だが「上昇幅は小さかった」と三菱商事幹部は振り返る。
 その理由は、世界の年間LNG輸入量の約15%にあたる3000万トン強(2010年)を輸入し、日本に次ぐ世界第2位のLNG輸入国である韓国からの“恩返し”だ。


 発電用を主とする日本と違い、韓国のLNGは、オンドル(床下暖房)など冬場の暖房用が主流で、夏冬の需要差は倍近い。このため、韓国は例年なら、在庫が底を突く春先から冬に向けたスポット調達を始める。
 ところが、韓国は今年、震災に見舞われた日本のため、自国のスポット調達を差し控えていたのだ。
 実は、01年〜03年、大寒波が韓国を襲った際、日本の電力会社が韓国にLNGを融通した歴史がある。韓国ガス公社首脳は、日本の電力会社幹部に「これまでの恩の一部を返す」と告げたという。
 しかし先月、その韓国ガス公社も「スポット買いを再開せざるを得ない」と日本側に“仁義”を切ってきた。冬に向けたタイムリミットを迎えた韓国の参入以降、価格は現在、震災前の1.5倍にあたる約15ドルに上昇した。
 足元では、「今月下旬、韓国の調達量もメドが立った。価格がさらに急上昇する可能性は薄まった」と別の商社幹部は胸をなで下ろす。ただ、今冬の寒波次第で、韓国はさらにLNGのスポット買いを積み増さざるを獲ず、予断は許されない。(本誌・宮原啓彰)