東北地方のトラック高速無料化の打ち切りの理由を、「悪用」と言う政府・マスコミ


 国土交通省は、今回の東北地方のトラック高速無料化の打ち切りの理由を、「被災地への物資輸送と無関係な車両が悪用」するためであるとしている。大畠国土交通大臣自身が、7月29日に「悪用が止まらなければ、再検討せざるを得ない」と、「悪用」という言葉を使った。マスコミはそれに追随して「悪用」と報道している。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110729/plc11072912150017-n1.htm


 しかし、コストの安い方法を選ぶのは当たり前の話。東北地方から発着すれば無料なのだから、反対方向へ行く場合であろうと、少々回り道でも、東北地方のインターチェンジから高速に乗るのが、経済的にも正しい行動。もちろん、震災支援に関係のないトラックであろうと、東北地方のインターチェンジに遠回りして高速道路に乗ることは、決して違法ではない。無理な方法でUターンをするなど、交通マナーの悪さは問題だろうが、違法行為は警察が取り締まればいいだけの話だ。


 またインターチェンジ周辺の住民にとっては迷惑であろうが、経済の活性化や復興の迅速化などプラス面ももちろんあるわけで、マイナス面だけを強調して、利用者のせいにするのはフェアではない。「悪用」という言葉のイメージは、トラック運転者の差別や運送業界のイメージの悪化に結びつく。人権の観点からも、こんな発言を許してはいけない。


 そもそも、無料化する時点で、特定のインターチェンジ周辺の混雑やマナーの悪化は想定されたはずだ。小学生でも気がつく。当初から予想された問題を理由に制度を取りやめるなら、どうしてその制度を始めたのか、理解に苦しむ。
 トラック業界などを悪役にすることで、行政が無謬を言い張り、マスメディアが提灯持ちをして無批判に垂れ流し、世論操作をすることこそ、権力の「悪用」であると、オイラは思う。


高速無料化“悪用”トラック横行
http://www.asahi.com/car/news/TKY201108010137.html