「猿の惑星/創世記」



 チンパンジーが人工的に作られたウィルス投与で頭がよくなり、支配から脱するために、人類に戦いを挑むという話。「フランケンシュタイン」のような、モンスター(とマッドサイエンティスト)物の要素があり、また抑圧されたマイノリティの革命物語という物語の定型をなぞっている。「マイノリティの革命物語」ということでいうと、オイラは「アバター」を連想した。これは、猿たちが森に戻っていくというところからの連想である。


 「アバター」は、異種同士が、共生できるかも知れないという「楽天的な物語」であるのに対し、本作は、所詮ヒトと猿は共生できないのだというペシミズムの物語である。リアルなのはもちろん本作の方。「アバター」は「ダンス・ウィズ・ウルブス」のような書生じみた甘さを感じる。もちろん「猿の惑星/創世記」は、アメリカ映画らしく、猿たちは無闇に人間を殺さないので、観客はかろうじて、猿たちに感情移入できる。しかし、主人公の猿も結構凶暴だし、不機嫌そうな面持ちは、ヒトの青年期を連想する。不安定さと怒涛の衝動を感じる。ということは、猿たちの活躍は、学生運動の暗喩か? 森に戻っていくのは、ヒッピー・ムーブメントか? 


 この映画では、チンパンジーがゴリラやオランウータンと共闘していた。同じ霊長類同士が共闘できるなら、人類とも共闘できるのでは? 「北京原人 Who are you?」で片岡礼子らがしたように、試しにウィル・ロッドマン博士も裸になってみたらとオイラは思う。


北京原人 Who are you? [DVD]

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 あと、昔の「猿の惑星」とは話がリンクしていないので「猿の惑星」を名乗らなくてもいいのではないか。