菅沼光弘「この国の不都合な真実−日本はなぜここまで劣化したのか?」徳間書店
- 作者: 菅沼光弘
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2012/01/28
- メディア: 単行本
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今回は内容要約。レビュウは4/12のエントリーを読んでほしい。
序 章 日本はどこまで劣化していくのか
TPPはたんなる関税や貿易の協定ではない。日本の社会、国体を完全に崩壊させようとするものだ。戦後65年、アメリカの対日政策は、一貫して日本解体をめざしてきた。TPPも日本解体戦略という文脈の中で考えなければならない。これに対する政治家や官僚、経済界、さらには国民の劣化は著しい。このような状況になった一番の原因は、教育にある。自分の国に誇りを持てる国民を育てていかなければならない。
第1章 アメリカによる日本解体はいかになされたか
日米安保条約には、日本を牽制する役割もある。アメリカにとって、日中に手を結ばせないことが重要なのである。またアメリカは占領期以来、日本の強みを崩壊させようとしてきた。教育による自虐史観の浸透、市場原理主義と格差の拡大、食糧戦略、円高政策、年次改革要望書などが具体的な。これらの延長線に、「TPPによる経済のブロック化」もある。
第2章 アジアの激動を日本はどう生き延びるのか
冷戦の終結とともに、日米関係を軸にした日本の国際政治は終わってしまった。中国の台頭を念頭におき、トルコやインド、ベトナム、イスラム諸国など、日本と同じような立場にある国々と連携していることが重要である。アメリカの影響力は強い。北朝鮮は、大量破壊兵器という切り札を失えば、リビアのカダフィのように抹殺されると思っている。小泉純一郎は、アメリカの言いなりになった。その後を継いだ安倍晋三は、アメリカによって梯子をはずされて辞任に追い込まれた。対米自主外交をやろうとした小沢一郎は、アメリカによってつぶされようとしている。それは田中角栄のときと同じ構図である。
第3章 アメリカはなぜ「ザ・ヤクザ」を標的にしたのか
GHQは「任侠」道を弾圧した。アメリカがこれをつぶそうとするのは、日本人独特の「誰かのために身を捨てる」という精神そのものだからである。任侠団体には在日朝鮮・韓国人や被差別部落出身者も多く、社会の側面から秩序を維持してきた。「犯罪組織」でも「非合法組織」でもない。
しかし今でもアメリカは「ザ・ヤクザ」を国際的犯罪組織と決めつけ資金を没収している。暴力団排除条例は、アメリカと連動した動きである。この条例は、暴力団を「反社会的勢力」とすることで、一般市民が暴力団と直接闘わなければならない状況を作り出した。警察は背後に引っ込み、住民や企業に行政指導をする。その行政指導は、警察官僚に莫大な利権をもたらし、警察を堕落させているのである。
第4章 世界で情報機関を持たない国は日本だけである
日本の悲劇はCIAのような情報機関がないことだ。北方領土、尖閣諸島、日韓関係など、的確な情報がないまま右往左往しているだけ。スパイ活動を取り締まるスパイ防止法も秘密保護法もない。国の情報は筒抜けである。
第5章 グローバリズムが終り、世界のブロック化が始まる
グローバリゼーションとは、アメリカン・スタンダード、つまりアメリカのルールで世界を統一しようという考え方である。それに対抗しようとするのが中国経済であり、TPPは、その中国を封じ込めるためにブロック経済をすすめようとするものである。これに伴う構造改革以来の変化は、安定的で調和的だった「日本資本主義」を不安定なものにしてきた。TPPでさらにそうした風潮はすすむだろう。
終 章 いまこそ日本は自らの歴史を回復しなければいけない
TPPに入るか入らないかは、われわれが自らの意志で決めるべきだ。アメリカによって、日本のアイデンティティは分断されてきた。アメリカはずっと経済戦争・通貨戦争を戦ってきたのである。日本国憲法前文にいう「公平と信義」なんてものは、アメリカにはないのだ。アメリカから押しつけられたを憲法そのものを変え、日米安保条約も見直すべきである。