四国ブロックだより


 今年の8月、富山で開催される高校演劇全国大会のプログラムに、四国ブロックの事務局長として、原稿を書きました。
 ちなみに、四国高演協事務局長としては、これが最後の仕事。
 次は高知の西村和洋先生が引き継がれます。あとはよろしくお願いします。



充 実 の 年 で し た


         四国高等学校演劇協議会事務局長    古 田 彰 信


 四国ブロックは加盟校数も少ない最小ブロックである。顧問の数も少ない。にもかかわらず、2011年は、凝縮された強いエネルギーを感じた年だった。それを象徴するのが、全国大会の綾歌(香川)開催であろう。香川県の演劇部顧問はもちろん、四県、そして全国の高校演劇関係者が手弁当で集い、損得を抜きにして、ひとつの大きな大会を成功に導いた。その成功は、四国ブロックの顧問・生徒にとっては大きな財産になった。


 全国大会を開催した年をきっかけに、四国の高校演劇は飛躍する。そんなジンクスがあると、勝手に思っている。1994年の松山での全国大会を見て、横川節(曽我部マコト)先生は高校演劇にかかわろうと決意した。また、2004年、鳴門での全国大会で高校生や顧問が刺激を受け、その年の四国大会は、非常にレベルの高い大会になった。そして2011年もまた、意欲的な作品が各県で上演され、四国大会は非常に刺激的な大会となったのだった。互いに影響され、出場校や審査員の枠を越え、触発され、化学変化を起こし、イマジネーションを広げた新しい作品が、続々と生まれつつある。


 高校演劇は、発展途上の人たちが、発展途上の作品を作って終わる場所などではない。場合によったら、現代演劇に重要な影響を与えることのできる作品が生まれるベースになる可能性のある場所かもしれない、近年の四国ブロックの活動を見ていてそう思う。四国ブロックは、中央から離れ、文化果てる僻遠にあり、演劇を見ることにも恵まれていない。だからこそ、既成の作品をなぞったような作品ではなく、焦がれるような表現への欲求が純粋に培養されたような作品が、この場所からは生まれる、そんな予感で満ちている。