今年も海で泳ぐ



 シーズン真っ盛り。7月に入ってからは、近くの海水浴場で泳ぐことにしている。よく行く時間帯は朝。朝は凪なので、風が少なく、シルキーな水面に恵まれることが多い。条件のいいときに海で泳ぐことは本当に楽しい。1〜1.5キロほど泳ぐことを日課にしている。オイラの場合、泳法は主に「横泳ぎ」。横泳ぎは、スピードを出すのもよいが、ストロークをできるだけゆっくりにすると、とても気持ちがいい。遠出が可能なときは、シュノーケリングを楽しむ。


 子供時代は泳ぐことが苦手だった。学校の水泳の時間はとくに「プールでの正しい泳ぎ方」を強制させられるのがたまらなかった。オイラが海で泳ぎ始めたのは、実はここ10年あまり。前の赴任先の近くに、全長1・6キロのすばらしい遠浅の美しい海水浴場があり、ここに仕事帰りに来て泳ぐようになってから病みつきになった。


 海は自由である。レーンもない。タイムを気にすることもない。海水は浮力を増すので、快適に泳げる。プカプカと浮かんでいるだけでも、母親の胎内にいるような気になる。解放され癒される。


 しかし、実は海で泳いでいる人は少ない。ほとんどが、波うち際で波と戯れている人とサーファー。朝はとくにサーファーが多い。サーファーと言えば海の男というイメージがあって、昔はサーファーの多いポイントは気後れしてスイミングを遠慮していたが、よく観察してみると、初心者っぽい多くの人たちは、ボードを浮き輪代わりにして浮かんでいる時間の方が長いようで、それなら邪魔になることもなかろうと、構わず前へ出て泳ぐことにしている。サーファーが波待ちをしているところから、さらに数十メートル沖に出る。


 海で泳ぐ人が少ないのは、つくづく残念なことだと思う。学校やスイミングスクールでは、プールの泳ぎ方を教えても、海での泳ぎ方を教えない。海で必要なのは、状況判断力。天候や波、潮の具合を確かめたり、クラゲなどにも気をつけなければならない(昨年オイラは猛毒を持つカツオノエボシと接近遭遇した)。もちろん危険もあるが、オイラの実感で言うと、海で泳ぐ方がプールの何十倍も楽しいし、泳ぎやすい。塩水は浮力が強いので、力を抜けば誰だって浮く。


 海には他者との対話がある。波や潮、自然との対話。シュノーケルとゴーグルをつけて潜れば、海の生物たちとの対話。それは少年の冒険の延長線上にある感じ。筋力もつき健康増進にもいい。暑気払いにもうってつけ。楽しいですよ。