崖っぷちの男



 刑務所を脱獄し、ホテルの窓から身投げしようとする男の真の目的とは? ニューヨークを舞台に、あっと驚く「事件」を描くサスペンス・アクション。主演は「アバター」「タイタンの戦い」などのサム・ワーシントン。他にエリザベス・バンクスエド・ハリス。監督アスガー・レス


 予備知識ほとんどなく見たが、とても面白かった。いつもはネタバレ全開で映画評を書くのがこのブログのスタイルだが、予備知識がない方が面白いと思うので、今回は控えることにする。ハラハラさせる展開の妙と、張りめぐらされた伏線。ラストに向けて事件が収束していくサマは、ちょっとした見もの。


 細かく見ていくと、矛盾やご都合主義的な展開、偶然に左右された部分が多数あるのだが、ハッタリやケレンこそが映画的な魅力であり、矛盾を数えながら見るといった姿勢は、この映画には似つかわしくない。たとえば、ケレン味たっぷりに悪役を演じるエド・ハリスの憎々しさたっぷりの演技を見よ。リアルに作るなら、憎々しげに主人公にミエなど切る必要もないが、悪い奴が悪役のように振る舞うのは、B級テイストの映画としては、極めて正しい選択なのである。


 アイデアを惜しみなく投入し、映画的快感を煮詰めて抽出して、エキスにしたような作品。おすすめです。