第27回高知県高等学校演劇祭 その4


 上演5 山田高 中田彩希作「鎖絡む少女」


 過去に生贄の儀式がおこなわれてきた村で再び起こる忌まわしい死。それがきっかけで昔の悲劇が明らかになる。
 創作である。頑張ってよく書いたと思う。自分の面白いと思う世界を舞台に乗せようという意欲は買う。冒頭のシーンはすぐに暗転になるが、照明などを使って印象的なシーンにすれば生きる。もう少し作りこむとよい。オカリナは少しぎこちない。SEにするとか、ナマ音にこだわりたいなら音楽を単純な曲調にするとか一考を要する。


 幕が上がるとむき出しのバトン。舞台中央にバトンから垂れ下がる黒幕。人の心の裏側を見せられたようなセットにぎょっとさせられる。ただし舞台中央の黒布が上下に短く、黒幕陰から下手へ移動するのは見えるのはいただけない。


 登場人物は屋外にかかわらず浴衣に裸足、ふだん着に靴下であった。はだしや靴下に意味があるのかと思って見ていたがわからなかった。登場人物は幽霊なのかなと思いながら見た。演技面の問題は、リアクションが薄いこと。特に明役。リアクションを取れば細かく動けるので自然に見える。ストーリーを転がすことが役者の仕事ではない。感じて反応することが役者の仕事である。


 途中で伽耶が突然死ぬという驚愕の展開になるのだが、まわりの人たちはあまり驚いていない。「死んでる」って素人診断するのではなく、とにかく早く警察に知らせ病院に連れていかないといけない。


 あと気になったのは、言葉の問題である。「おぬしは〜じゃ」という話し方をしているのに「ムカツク」といった現代若者言葉を使う。「(今は)平和になり儀式は煙のように消え、今はこうやってお祭りで皆楽しんでいる……ムカツク。…本当ムカつく!」昔の人間なのか現代の人間なのか分からない。特に昔のパートは、いつの頃の話なのか考証してはっきり作らないと、見る側にストレスが残る。


 そして、この学校にも暗転問題がある。暗転中に走っているのはいただけない。足音は極力たてないように、暗転中に動くのは観客席から見える。上手から下手へ移動がまる分かりである。また、白い布をかぶって「お兄ちゃん」は少々安易では?


 家系図。大切な小道具なのでもう少し古い感じをにじませることができればよかった。
 大人に見てもらうこと。他の人の意見を取り入れること。細かいところまで神経をゆき届かせること。早め早めに用意し不測の事態にそなえること。