第27回高知高校演劇祭 その13


上演14 高岡高 加藤のりや作・高岡高校演劇部潤色「王女様のいるところ」


 難破した船、見も知らぬ場所へ流れ着いた王女。実はそこは認知症の施設だった。王女の遭難と、意識が混濁した老女の夢が二重構造になっている作品。


 もともと四人、男性中心で演じる既成の台本を、「ひとり芝居」に書き換えて上演した。もともとの作品の構造がシンプルなせいもあってか、台本の改変は無理がない。男性「王様」から女性「王女」への変更も自然。口汚いののしりあいや、チンケな取っ組み合いなどが横溢する元の台本を、上品な形に直しているのも、役者の持っている上品な雰囲気と合っていて悪くない。ただ、本格的な改変に取り組むのであれば、もう少し有名で古典的な作品の再構成にチャレンジする方が、より深く人間存在や演劇の本質的なところまで到達できたのではないかと思う。


 役者は力みが少なく素直な印象。一人よがりな表現が少なく、セリフは聞きやすかった。イメージを持ってセリフを言おう。このドラマは極限状況のドラマとも言える。感情を解放して、感情の振幅を大きく表現しようとたくらんだ方が、陰影がくっきりと浮かび上がるのではないか。また、セリフ衣装のドレスがかさばって動きにくそうだったのは、計算違いか。時々ドレスの下から体育館シューズが見えたのは興ざめ。この台本なら、もう少し動かなくてもよい演技プランで演じることもできただろうが、そうなるとセリフ力をもう少し鍛えなければならない。バランスの難しいところだろう。


 また、これは他の作品にも言えることだが、効果音が少々唐突。装置のない中での、ぎりぎりまで厳選した数少ない「効果」なのだから、もう少し周到に照明や音響をたくらむべきだと思う。