城北高演劇部「そばや」



 オイラが顧問をしている演劇部の情報である。
 作者の仲谷憲さんから正式な許諾をいただいたので詳しい情報解禁。城北高演劇部は、第65回徳島県高等学校演劇研究大会にて、11月22日(金)17時25分から、仲谷憲作「そばや」を上演する。


 「そばや」は既成作品。オリジナルは2009年の全国大会まで出場したので、高校演劇関係者の方は、ご覧になった方も多いと思う。学校帰り、ソバ屋を営む友人の家で、塾までの時間をつぶす高校生をスケッチした作品。もともと男6人で演じる芝居だが、城北高は、セリフの変更を最小限にとどめつつ、女子6人で演じる。芝居を成立させるためにどんな処理を施すかは、ぜひ当日の舞台をご覧になっていただきたいと思う。


 この作品を上演するにいたったいきさつを記しておこう。当初、部員たちは「自分たちでもできる作品」を探してきた。人気の越智優作品や、親しみやすいネット台本が候補だった。オイラは「それはそれで面白い。だが、できるだけ遠くに跳躍しようとチャレンジした方が、演技的にも演出的にも面白い」と焚きつけた。結局生徒は「自分たちには最も遠く、最も上演不可能そうな作品」である本作を選んだのだった。


 幸い「そばや」は自由度が高い。ストーリー優先ではなく、雰囲気を立ち上げるような芝居である。オリジナルは、素に近い男の役者たちの存在感が秀逸な芝居だった。女子が演じる今回の「そばや」は、演出と役者の力で、オリジナルとはまったく別の構造を持つ芝居に仕上げてみたいと思う。


 だが、正直イメージが固まっているわけではなく、どんな芝居になるのか、あと10日を切ってもはっきり見えてこない。また、物理的にも時間的にも綱渡りの部分が多く、きちんと完成できるのか冷や冷やしながらの稽古である。でもそれはそれで試行錯誤がとても面白い。部員たちとともに、今はスリリングな芝居作りを楽しんでいる。