人権新聞を出す


 今年度、最初の人権新聞を書く。新一年生を意識して書いたので、内容は平易にしたつもりである。


 心を開いてパスを回そう


 皆さん、新しい年度が始まりましたね。皆さんは、どんな感じで過ごしていますか? 


 「爆弾ゲーム」というゲームの話をします。ボールを使った単純なリクレーションです。音楽が止まった時、ボールを持っていたら負け。音楽の終わりには、自然とすばやくボールをパスするようになって、低学年では、けっこう盛り上がるゲームです。


 ところが、いい雰囲気にならない場合もあります。それは、パスが片寄っていて、一部の人ばかりに集中するときです。パスの来ない人はつまらないでしょうし、パスが誰かひとりに集中して標的にされたりすると、ゲームがいじめになってしまうかもしれません。このゲームは、できるだけ多くの人にパスを回すことが前提になって成立するリクレーションなのです。


 クラスでのコミュニケーションも同じようなことが言えるのかも知れません。クラスのコミュニケーションは、目に見えない「パス」です。「パス」は、小さなグループ内だけでかわされるのではなくて、「明るい子」「おとなしい子」などの垣根を越えて、多くの人が抵抗なくコミュニケーションの取れるような環境が理想的なのだと思います。


 新一年生をはじめとして、「クラスに友達がいない」「出遅れた」と思っている人は、実はいっぱいいると思います。なかには、お昼にご飯を食べる相手がいなくてみじめで耐えられない、と思っている人もいるかも知れません。反対に「このクラスには知り合いがいっぱいいる」「よかった」と思って、ほっとしている人もたくさんいると思います。みんな一喜一憂しているのです。


 狭い環境で孤独だと「友だちがいない」不安は増幅されがちです。だからこそ、互いの心のハードルを下げ、心を開いて接するという「構え」が必要です。気軽にあいさつしたり雑談をしたり、にっこりほほ笑んでみたり、知らない人ともきっかけをつかんで、自然体で話せる人、気分よく過ごせる人を見つけていきたいものです。


 また、部活動や勉強に打ち込んだり、先生と話をしてみたりするのもいいと思います。外の世界に目を向け、自分の世界を広げていけば、教室での孤独なんて、ちっぽけな悩みであることに気がつくかも知れませんね。