猪熊弦一郎現代美術館/東山魁夷せとうち美術館
美術館へ行くと楽しくなってしまう。右脳が激されてとてもいい気分になる。そのことが分かったのは、猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)で子ども対象のワークショップの写真や絵を見たからだ。それは「MIMOCA」のよいところをさがすというものである。子どもは、色とりどりの線を引いて「おどりのれんしゅうをする」とか「よいものをさがす」とか書いてある。また、写真を何枚も重ねてMIMOCAの正面を再現する作品もあった。紙の上に建物や彫刻を立体的に配置してある作品もあった。それらの、てんで自由で楽しそうな発想は、美術館にきたことで小学生も刺激されたのだろうなあ、と僕は思ったのだ。「ああこれは右脳が活性化しているせいに違いない」と思ってしまった。右脳を刺激する場所、そして人というのが存在する。
「夢を語る技術シリーズNo.4/書きたい!書けない!−なぜだろう−」というシナリオ創作指南書には、「マップマッピング」という右脳を働かせて台本の構成を作る方法が書かれている。脚本でも小説でも言えることは、書いているとすぐに批判的な左脳が目覚めてきて「面白くない」「辻褄が合わない」と言いはじめる。だから左脳を目覚めさせないように、そして発想をつかさどる右脳がダイナミックに働くようにする方法が必要なのである。それは大きな用紙に色とりどりのペンをつかって、5分ほどで発想を書き留めるという方法である。この方法で小説の構成を作らせてもらった。そして文章に目をつぶって早書きする。少々の間違いなら直さずにどんどん書く。そうしながら、自分の右脳を活性化させて表現に取り組めば、創作という辛い作業が楽しくなる。これホント。
そんな営みは人生を楽しくする。そして人の人生も楽しくする。そういうことのできる人になりたいなあと僕は思う。
猪熊弦一郎現代美術館/県立東山魁夷せとうち美術館とも設計は谷口吉生。のびやかで端正かつダイナミック。猪熊弦一郎現代美術館は、丸亀駅のすぐ前という一等地に作られていて、アクセス抜群。金沢といい丸亀といい、こうした立地こそ、芸術を町に根付かせ、新しい才能を生む母体になるのではないか。徳島には、残念ながらそうした視点はない。
特別展は「谷口吉生のミュージアム」展。展示されている模型は、精緻で考え抜かれた谷口の美術館建築を想像するのに十分。他の美術館にも行きたくなった。
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