「環境問題で深刻と思うことは何か」地球温暖化に関する意識調査より


日本 全調査国 アジア 北米 欧州 南米 アフリカ 先進国 途上国

河川、湖沼、海洋の

44 72 69 66 71 88 64 67 76
大気汚染 50 67 66 54 63 85 63 59 73

温室効果がもたらす

気候変動や地球温暖化
65 64 63 51 63 82 50 60 68

森林、農地、魚類な

どの天然資源の枯渇
61 70 66 63 72 83 56 69 71
自動車の排気ガス 36 58 63 45 52 78 40 49 66
動植物種の絶滅危惧  39 64 61 53 62 82 51 58 68
水資源不足  39 70 71 62 66 84 64 63 75

予期できぬ天候がも

たらす食糧不足
37 60 63 44 47 76 74 46 70
上記8問題の平均値  46 66 65 55 62 82 58 59 71
http://www.jmra-net.or.jp/pdf/document/membership/release/SMIS20100326.pdf#search='地球温暖化に関する意識調査'
NTTデータスミス
(数値はそれぞれ「非常に深刻な問題である」と答えた者の%)


 日本人は地球温暖化以外の環境問題には無関心?


 週刊ダイヤモンド2011年7月2日号の84ページ広告企画「循環型の社会システムを構築する」に掲載されていた表。世界24カ国約25000人を対象におこなわれた。赤く塗った箇所は、それぞれの地域で一番トップボックスの値が大きかった箇所。日本では「地球温暖化」が63%ともっとも高い。


 オイラがこの表を見てオオッと思ったのは、日本以外に、地球温暖化を「もっとも深刻な環境問題」としている国や地域がなかったこと。日本は、地球温暖化以外の項目に関しては、数値が目立って低く、このなかでは最低。地球温暖化以外の問題を深刻に考えていないということがわかる。


 「原子力発電はCO2を出さないクリーンなエネルギー」そういえば、そんな喧伝がなされてきた。温暖化防止は「国策」。知らず知らずのうちに我々は、国の宣伝に乗せられるあまり、世界が直面している多くの環境問題を捨象し、自らの問題として考えることができてなかったのではないか、とオイラは思う。


 環境問題学習はウサン臭い


 環境問題もまたイデオロギーだ。環境問題学習のウサン臭さから考えても、それは明らかだ。「電気はこまめに消しましょう」「水道の栓はきちんと締めましょう」といった、個人のモラル向上で事足れりとする学習の何と多いことか。


 環境問題を解決するためには、社会のあり方を視座に入れねばならぬ。国や地方公共団体の行政責任や、企業責任を問い、それを改善するために、何らかのアクションを考えるところまで踏み込まなければならぬ。今の社会システムを批判し行動する力を養わねばならぬ。社会を変革しなければならぬ。しかし、実際の環境教育の多くは、自らの節約モラルを適応主義的に高めていく、そんな人間像しか作り出してこなかった。


 より抽象度の高い学習が可能な高校生に「電気はこまめに消しましょう」「水道の栓はきちんと締めましょう」などという教育は、本当につまらない。原発問題もそうだ。「原発が止まると電力が足りなくなるから一般市民も節電を」という言説ばかりが流布される。環境問題を矮小な実践に落としこんでしまうから、もっと大きな環境問題の切実さが見えなくなってしまうのだ。原発が止まっても電力の安定供給を可能にするにはどうすればいいのか、本当は一人ひとりがそれを考えねばならないのだとオイラは思う。