ASIOS・奥菜秀次・水野俊平「検証 陰謀論はどこまで真実か パーセントで判定」文芸社


検証 陰謀論はどこまで真実か パーセントで判定

検証 陰謀論はどこまで真実か パーセントで判定


 著者のところに書かれている「ASIOS」は「超常現象の懐疑的調査のための会」の略。


 陰謀論」を検証するという難題に挑戦している非常に真面目な本


 「地球温暖化はでっちあげだ」「有害物質を大量に含んだケムトレイルに気をつけろ」「競馬にはサインが隠されている」「SARSはアジアの人口減少を狙ったアメリカの陰謀だ」・・・・・等々、34の陰謀論を取り上げているが、それぞれに結構な量の参考文献がつけられている。お疲れさまである。


 「あとがきにかえて」にも書かれているが「陰謀論を唱えるのは比較的簡単なんですが、それを誤りだと立証するのは、唱えるよりも数倍のエネルギー(手間と時間)を必要としますね。一方、陰謀論者というのは根拠がなくても陰謀論は成立すると思っている人々ですから、議論がかみ合うはずはありません(水野)」(341ページ)労多くして功少ない仕事に取り組む姿勢こそが、チャレンジングだとオイラは思う。


 各項目には、それぞれの伝説の「真実度」がパーセントで表示されている。ほとんどの項目が0パーセント。つまり、ほとんどの陰謀論が、語るに値しないということか。「現代は情報が氾濫し、リテラシー(情報活用能力)が問われる時代だ。しかし、個人でできることには限界もある。そこに陰謀論が跋扈しやすい環境も生まれる(4ページ)」そういった時代にあって、我々が情報を選択し読み解いていくときに、とても参考になる。