週刊ダイヤモンド2011年10月1日号「特集/競馬・ボート・競輪・オートレース 公営ギャンブルの窮地」


週刊 ダイヤモンド 2011年 10/1号 [雑誌]

週刊 ダイヤモンド 2011年 10/1号 [雑誌]


 地方公共団体が運営する公営ギャンブルが不振だという。地方公共団体が運営主体となっている公営ギャンブルは、地方競馬、競輪、ボートレース、オートレースの4種。全国には92カ所の公営ギャンブル場があるが、半分以上が赤字経営。売上高は、1991年度をピークに3分の1から4分の1に激減した。特に、2011年上半期は、東日本大震災の影響で、売上は前年同期比10%以上減少した。競輪にいたっては、20.0%の減少だ。


 どうしようもない「役所体質」がここにも


 赤字になると、運営主体の地方自治体は、経営補助金や人件費等を補填せざるを得ない。公務員が出向が中心の職員は、商売感覚がない、殿様商売である。競技時間は役所の勤務時間に合わせて午前10時〜午後4時というのが大半。利益は自治体が吸い上げ、原価償却の概念もなく、施設を改善・更新する費用もないので、各地の施設は薄汚くボロボロだという。


 反面、従業員は厚遇。競輪はビリでも賞金が出る。「最低クラスにいて、臨時一般サラリーマンより高給なのはどうか」との声も高い。また「選手は客商売の自覚がない」(30年来の競艇ファン)インタビューでも「うん」「そう」としか無愛想に答える選手が多いそうだ。また競艇場の臨時従業員の日当は、約7時間労働で約10000円前後。地方都市としては破格の待遇である。


 「隠蔽体質も相当なものだ。編集部では各地のギャンブル場や主催者の収支を調べようとしたが、「公開できない(農林水産省競馬監督課)といった回答があるなど、公営事業とは思えない反応のオンパレードだった」ここにも、役所体質のマイナス面が深く根付いている。


 こうした状況だから、当然存廃論議がある。しかし、鳴門競艇の場合、地元の就業人口の2%、経済波及効果は鳴門市の5.0%にも及ぶ。貴重な雇用の場でもあり、来場者の飲食や交通等の消費でなりたっている企業も少なくない。利害関係者が多く、廃止に踏み切れないうちに、傷口を広げているという最悪のパターンである。


 それは地方公共団体の未来予想図だ


 「黒字化する見込みのない不振ギャンブル場を一般会計に影響を与えず清算するには、荒尾競馬のように三セク債を利用するしかない。その三セク債の発行期限はあと2年しかない。わずか2年で改革を施し黒字化にメドを立てることは難しいからだ」
 赤字ギャンブル場は50場。改革が間に合わず、1〜2年以内に、50場が廃止というシナリオを考えられる。それは、公営ギャンブルだけの問題ではなく、地方公共団体の未来を見ているような錯覚にオイラは陥る。