森達也×上杉隆「誰がこの国を壊すのか」ビジネス社
- 作者: 森達也,上杉隆
- 出版社/メーカー: ビジネス社
- 発売日: 2012/11/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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メディアをテーマとした対談本である。話者は日本のメディア状況に警鐘を鳴らし続けてきた森達也と上杉隆。共通した問題意識を持つふたりだというのに、この二人は会話をかわしたことがほとんどなかったという。少々意外。
内容については、二人が主にすでに書いたり話したりしたことが主。それぞれ熟考を経た意見であり、よくまとまっていて、さすがに考えさせられる。通読すると、現在のメディア状況の問題点を概ね見渡すことができる。
そして、第7章である。オイラが本書でもっとも「おっと思わされた」のはこの章だ。森達也が上杉隆に対し「あなたは上杉隆という巨大なメディアになっている」と指摘するのである。橋下徹とまではいかなくても、上杉のツイッターのフォロアーは27万人。ひとつのつぶやきによって、ネットの世論がざっと動く。ということは、上杉の発するメディア批判は、上杉にもあてはまるということ。そのことに、あなたはどれだけ自覚的であるのか。実際の表現は少しオブラートにくるんではいるが、核心を突く、ラジカルな問いかけである。メディアの一員として自己のありように言及してきた森達也の姿勢と、それに誠実に答えていこうとする上杉の姿勢に、オイラはドキリとさせられた。
そして気がついた。なぜオイラは、マスコミ業界にいるわけではないのに、メディア状況に関心があるのだろう。答えはこうだ。オイラも発信する側、表現する側にいるからだ。マスでこそないが、オイラ自身もメディアなのだ。
「私たち自身がメディアである」という、オイラの問題意識はこちらに書いた。こちらも読んでほしい。
関連エントリ
■[メディア][教育]「私たち自身がメディアである」
http://d.hatena.ne.jp/furuta01/20120414