「 拝啓 徳島県知事 殿 」 


 ローカルな話題だが、6月3日に行われた総合教育会議での知事発言に対し、思うところがあったので徳島新聞に投書した。6月11日付朝刊に載った。いつも通り一部修正されたが、ここでは投稿時のまま記す。


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 「教員は(自らの)給与を削って子どもたちの事業に(予算を)向けてほしいと言うべきだ」
 6月4日付徳島新聞で報じられた、県総合教育会議での飯泉県知事の発言は、残念というほかない。


 今、多くの教員は、多忙感を抱えて疲弊している。平均月50時間以上の残業、自宅へ持ち帰っての仕事、休日は部活動指導である。日々の仕事に追われ、研修の時間も休養の時間も取りにくい。ストレスを抱え健康を害する者もいる。給与が削られる前に、教員はすでに時間や健康や主体性を削って全体のために奉仕している。


 教育に関する事業は、今でもすでに結構な数が国や自治体から下りてきている。多くの場合、人員配当はほとんどなく、予算は使いにくく、現場のニーズと合致していないのが現状である。これ以上形ばかりの事業が増えれば、学校はますます疲弊し、日常の学校運営がおろそかになり、士気が下がる。超過勤務のしわ寄せは子どもにまで及ぶ。


 そもそも総合教育会議は「教育の諸条件整備など重点的に講ずべき施策」についての会議である。教員を給与をカットして事業に回すというのは、条件の改悪であって条件整備とは言えない。首長は、改正地方教育行政法により権限が強化された責任の重さを自覚し、現場の意見に耳を傾けてほしいと思う。


「教員は給与を削って・・と言うべきだ」徳島県知事 2015/6/4 09:59
  http://www.topics.or.jp/localNews/news/2015/06/2015_14333796363808.html


 4月の改正地方教育行政法施行に伴って設置された徳島県総合教育会議の初会合が3日、県庁で開かれ、飯泉嘉門知事と教育委員が意見を交わした。
 知事は、過去に教員の給与カットを打ち出した際に反発した教育現場の姿勢を批判し、
 「教員は(自らの)給与を削って子どもたちの事業に(予算を)向けてほしいと言うべきだ」
 と持論を展開した。
 
 会合には飯泉知事のほか、松重和美教育委員長や佐野義行教育長ら6人の教育委員が出席。
意見交換で知事は、2008年度から県職員や教員、警察官らの給与カットに踏み切った時のことについて、「一番ブーイングが出たのが教育現場だった」と振り返った。

 その上で「国の経済財政諮問会議の民間委員から教員縮小、合理化が提言されており、そうなった時に公教育の率が高い徳島は影響を受ける。(徳島の教員は)もっと先読みしなければならない」などと主張した。

 教育委員からは、「民間会社はもっと人件費の割合は低い」などと知事に同調する意見は出たが、異論はなかった。他には、学校の積極的な情報公開や一般社会との連携を求める声があった。

 改正法では、国の教育振興基本計画を参考に、都道府県と市町村の会議が地域の教育行政の指針となる教育大綱を定めることになっている。この日の初会合では、秋までにあと3回程度会議を開いて徳島教育大綱をまとめる方針を確認した。


 会議は教育への民意の反映を目的としているが、首長の過度な介入で教育の政治的中立が脅かされるとの懸念も指摘されている。


 初会合の後、飯泉知事は取材に対し「有意義だった。それぞれの意見が出て良い点と課題をいただいた」、松重教育委員長は「自治体の長と本質的な話ができた」と述べた。
【写真説明】初会合で教育委員に意見を述べる飯泉知事(左)



 なお、ネットには掲載されてなかったが、本紙には組合の委員長の発言が掲載されていた。


 待遇の重要性 徳教団が強調


 小中学校や幼稚園の教職員が加盟している徳島県教職員団体連合会(徳教団、約3千人)の西川達也委員長は3日、県総合教育会議での飯泉知事の発言に反発した。


 西川委員長は2013年度までの6年間続いた給与カットについて「知事は最初「禁じ手:と位置付けた上で「今は予算が厳しい」として理解を求めてきたはず」と指摘した。さらに「教職員そのものが教育環境だ。教職員にお金をかけなければ教育はよくならない」と述べ、教員の待遇を整えることが教育環境の充実につながるとの認識を強調した。


 「教職員の給与カットは教育施策とは言えない」として、会議で給与カットに言及すること自体についても批判した(川辺健太)。