週刊ダイヤモンド2011年9月24日号「特集 ビジネスパーソンの自転車快適生活」


週刊 ダイヤモンド 2011年 9/24号 [雑誌]

週刊 ダイヤモンド 2011年 9/24号 [雑誌]


 週刊ダイヤモンドの最新号が自転車特集。ビジネス誌だから自転車産業への目配りはあるが、誌面の3分の2は、自転車通勤のススメといった内容で、自転車乗りからしても、あまり違和感のない誌面構成。丹羽隆志、下野康史高千穂遥など、登場する自転車パーソンも違和感がない。


 なるほどと思ったのは、59ページの自転車行政・自転車事故についての記述。自転車大国コペンハーゲン、ニューヨークの自転車道路の写真と、東京都江東区亀戸の自転車道路の写真を掲載して、その違いを明らかにしている。


 その違いとは、自転車道の通行方向にある。


 コペンハーゲンとニューヨークは、片側通行
 亀戸は、右側・左側の相互通行可


 日本の道路交通法によれば、自転車は車道・左側通行が原則。これには理由がある。自転車事故でもっとも多いのは、交差点でのクルマとの出会い頭の事故。クルマは左側通行であるため、ドライバーは右から来る左側通行の車両には注意を払っているが、左側から「逆走」してくるとは想定していない。そのため、右側通行の自転車は、左側通行に比べて、50倍も事故にあう確率が高いという!


 ※交差点での出合い頭事故確率(倍数は車道左側通行を1倍とした場合の事故確率)
 車道左側通行      1.0倍
 歩道左側通行/車道側  1.1倍
 歩道左側通行/建物側  3.1倍
 車道右側通行     49.5倍
 歩道右側通行/車道側  1.1倍
 歩道右側通行/建物側 22.7倍
 (東京国道事務所/国道254号の自転車事故を元に作成)


 上の表を見れば一目瞭然だが、車道・左側通行がもっとも安全なのである。
 道路交通法が例外として認めている歩道の右側通行も、実は危険なのである。
 こういう資料が出ると、歩道通行を認めている自転車行政そのものが、根本的に間違っていると確信する。歩道に柵を設けるより、「車道の左側を走る」という原則を徹底させた方が合理的なのではないか。

 日本でも国交省がモデル地区を指定した08年当初は、自転車と歩行者の接触事故の減少を目的として、自転車道と歩道の分離を目指していた。
 ところが、11年7月の経過報告では、全国で整備された自転車道273キロメートルのうち、歩道と一体のものが213キロメートルと78%にも上るというお粗末ぶりだ。
 自転車走行のためのインフラづくりは、「車道の両側にペンキを塗るだけでいい」と、東京工業大学の屋井鉄雄教授はいう。この線を引くだけの自転車レーンなら、路肩が1.5メートル、最低1メートルあれば可能だ。オカネもかからない。住信基礎研究所の古倉宗治研究理事によれば「全国の幹線道路の約半分に、両側1.5メートルずつの余裕エリアがある。(59ページ)

 詳しくはこちらで。

自転車の安全鉄則 (朝日新書)

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