ありあまるごちそう
- 作者: ドキュメンタリー映画
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2011/08/27
- メディア: DVD
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(結末に触れています)
「食」に関するドキュメンタリー。監督エルヴィン・ヴァーゲンホーファー。何とオーストリア映画。農業・畜産・漁業など、大規模化・機械化が進み、企業的経営が広がっている。大量に捨てられるパン、遠距離に輸送されるトマト、処理工場で大量生産される製品のようにさばかれパック詰めにされる鶏…。
「フード・インク」「いのちの食べかた」「キング・コーン」など、「食」に関するドキュメンタリーはいくつか作られている。既視感のある内容だなと思いながら見た。
邦題は「ありあまるごちそう」だが、直接飽食の問題点が語られるのは、パンの大量投棄くらい。グローバリゼーション、南北問題、生産・流通のシステム化、ネスレに代表される「食」の企業的経営など、取り上げているテーマは多岐にわたる、と言えば聞こえがいいが、どこか散漫な印象で物足りない。グローバリゼーション批判も、牧歌的な問題提起に思えツッコミ不足。内容的にも高校地理Bのレベルだし、何よりも絵がイマイチ。セリフの量がかなり多く、何もかもセリフで語る演出からは退屈さえ感じた。
これなら「フード・インク」の方がまだましだ、と思ったが、製作年をみると「2005年」とある。「いのちの食べかた」が2006年、「キング・コーン」が2007年、「フード・インク」が2008年なので「ありあまるごちそう」が先行作品なのである。それでちょっとこの作品を見直した。既視感があるのは、この映画のせいではなく、他の作品が「ありあまるごちそう」に影響されているのである。この映画は少し前の作品なので、現状を反映していない点は少々割り引かないといけない。
食のグローバル化においては日本は先進国である、ヨーロッパではそういう認識なのだろう。この映画のラスト、産業用ロボットが作業する日本の工場の様子が映し出される。確かに今の日本の流通システムやグローバル化、飽食の現状はすごい。スーパーに行けばニュージーランド産のかぼちゃやノルウェー産のサバなどがずらりと並んでいる。それが当たり前の光景になっているために、この映画の問題提起を物足りなく思うのかも知れない。