中嶋潤一郎「ボールジャグリング入門」ナランハ


ボールジャグリング入門

ボールジャグリング入門


 新しいことを始めてみたいと思って購入。題名のとおり、ジャグリングの希少な入門書である。入門書と言えども、ジャグリングの超絶技法まで解説されており、文化としての奥深さまで堪能できる。たとえば、5つのボールでジャグリングを行う「5ボール」を解説したページでは「マスターするのに一番大切なのは、技術的指導よりも精神的なもの」「ほんの数秒練習して、あとは玉拾い」「一生懸命練習してのなかなか進歩せず、時にはバックしたりして、という状態は数カ月も続きます」ここまでたどり着けるのは、いったい何人いるのだろうか。「カンタン!」「サルでもできる!」といった言葉が氾濫する昨今、入門者の姿勢を問う、まっとうな厳しさを備えた入門書と言える。


 また、世の中には、すごいことをやっている人たちがいることを知る。たとえば、ジャグリングとジョギングを組み合わせた「ジョグリング」というスポーツがあって、1980年頃から競技会がおこなわれているとのこと。ジャグリングをしながら走るのである。落したら落した場所に戻って再スタート、足のステップと投げるリズムを合わせなければならない(3ボール)というルールで、世界記録は、オーウェン・モースの持つ100m11秒68! 普通の人がジャグリングをせずに走ったとしても、達成できない記録に唖然。


 アルバート・ルーカスはマラソンを4時間で完走したのだが、マラソンの途中で何回落したのかと聞かれて「一回も落さなかったよ」と答えたそうだ。道は深遠。もちろんオイラは3ボールからの練習である。