関根眞一「教師はサービス業です−学校が変わる「苦情対応術」」(中公新書ラクレ)



 「モンスターペアレント」などという言葉に引きずられて、保護者からの苦情が来ると、反射的に面倒だと思って身構えてしまい、うまく対応できない。そんな多くの教師に必読の本が、関根眞一「教師はサービス業です−学校が変わる「苦情対応術」」(中公新書ラクレ)である。


 筆者はいう。「保護者は、多くの場合、苦情を「やむなく」言う」と。「さんざんに葛藤した末、それでも解決に至らなかったために、仕方なく申し入れをする」のである。また「保護者は会話のプロではない」「専門的な知識もあるとは限らない。言い方がとげとげしくなったり、回りくどい話になるときもある」


 とくに「保護者は、子どもだけでなく、親のワタシも「良い親」だと褒めてもらうことを実は願っている」という下りには、今さらながらオイラは目からウロコだった。「子供への接し方はこれでよかったのだろうか」と揺れ動き、自信がなく、常に疑心暗鬼になっているのが多くの親である。そう言われればそうだ。


 保護者は子どもとうまく会話ができていない場合もある。子どもに対して、理性を失って感情のままに叱ってしまう場合もある。そもそも「子育てで判断に迷うことがなかった親なんてほとんどいない」。そんな「保護者の立場で物事を考える」大切さを教えてくれる良著であり、教師のスキルアップに必読の一冊である。