宇宙人ポール
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2012/07/04
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(結末に触れています)
大都市圏では12月公開。アメリカへUFOスポット巡りに来たオタク2人組が、政府に拘束されていた宇宙人に出会い、宇宙に帰る手助けをする。出演は、サイモン・ペッグ、ニック・フロストの二人(「ホット・ファズ /俺たちスーパーポリスメン!」)。監督グレッグ・モットーラ。
おおまかなストーリーは「ET」そのまんま。「ET」では、子どもが宇宙人を助けるのに対し、この映画では、オタク二人組が宇宙人を助ける。二人組はオタクに加えてイギリス人という設定で、アメリカではエイリアン(よそ者)。二重に疎外されている。その状況は、宇宙人の立場と重なる。
宇宙人はもちろんキリストの隠喩。宇宙人は、小鳥を生き返らせたり、傷を癒したりする。これらは神を連想させる。いやそれ以前に、人が宇宙人と出会うこと自体が、すでに「奇跡」。神のわざである。自分たちはその場所に立ち会っている! 悪態をつきながらも、二人組にとっては至福のとき。ボンクラの妄想が現実になる瞬間。もちろん、現代の映画らしく、当の宇宙人は下品でコメディアンのように作ってある。
旅の途中で彼らの元に集まってくるのもまた、疎外された人々だ。キリスト教原理主義者の娘、少女時代に宇宙人を目撃し、回りからおかしくなったとされた老女。彼女たちにとって、宇宙人は救いだ。キリスト教の世界から自らを解き放ってくれたり、自分が正しかったことを証明してくれたりする。
観客(=オタク)も救われる。ちりばめられた映画やSFに関する小ネタやパロディ、スピルバーグ(声の出演)やシガニー・ウイーヴァーといったキャスティングも、オタク心をくすぐる。ネタが分かるということは、この映画の信者の列に加わること。あれはあの映画のネタだ! 誰かに喋ってみたい! この作品の真の理解者はオレだ、ということになる。映画オタクにとってみれば、この映画の存在そのものが「奇跡」なのだ。
本作は、現実から疎外された人々の「救いの映画」だ。カルトになりうる作品だと思う。よく似た構造を持つ映画として「ギャラクシー・クエスト」をあげたい。名画座のこけら落としで、2本立てで上演する様子をぜひ見てみたい。その映画館は、オタク映画のメッカになれます。
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- 発売日: 2009/04/10
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