洋泉社MOOK「爆烈!アナーキー日本映画史 1980−2011」


映画秘宝EX爆裂! アナーキー日本映画史1980~2011 (洋泉社MOOK)

映画秘宝EX爆裂! アナーキー日本映画史1980~2011 (洋泉社MOOK)


 「鮮烈!アナーキー日本映画史 1959−1979」の後編が出た。この少々変わった日本映画のガイドブックは、名作と呼ばれる日本映画を紹介するのではなく、「アナーキーの名の通り、どこか過剰で、何か過激な 日本映画の本流から外れた パンクでクレージーアウトサイダーの映画ばかり」を紹介したもののである。


 表紙は「愛のむきだし」(2008)の目元涼しい満島ひかり。前編が「月曜日のユカ」の加賀まりこ。担当者の趣味がはっきり出ている気もするが、よくよく考えてみれば、これほどこのムックの表紙にふさわしい女優はいない。満島ひかりの名前は「愛のむきだし」とともに秘宝的感性を持つ心ある映画ファンの胸に深く刻まれる。「ゼロ年代日本映最大級の傑作(ママ)」(Byモルモット吉田)という評価にオイラは深く同意するものである。


 「1959−2011」の前編は、さすがに見ていない作品の方が多かったが、「1980−2011」は、オイラの個人的な映画史に沿っていることもあって見ている作品が多い。ひとつひとつの映画に関する記述は短いが、123本の映画を総覧することによって、80年代、90年代、ゼロ年代それぞれの、時代の空気を感じることができる。秘宝スピリットを持つライターたちの、コアでディープなエピソード紹介や、それぞれの作品に対する敬愛の念が伝わってきて、とても共感できる一冊。


愛のむきだし [DVD]

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 3時間57分という上映時間をはじめ、この映画に充満している過剰さが、初々しさ、ストレートさと絶妙の塩梅で同居している。青春の妄執をピュアな形で描ききった名作。


 
 「鮮烈!アナーキー日本映画史 1959−1979」のレヴュウはこちら
 http://d.hatena.ne.jp/furuta01/20120525