斎藤環「世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析」角川書店



 本書に書かれている「普通の人の中の「ヤンキー的なもの」」を紹介しよう。我々の中の「ヤンキー的なもの」を見つめ直すことによって、見慣れた教育や社会の風景が、新鮮なものに見える。以下、斎藤環氏が内藤順子氏との対談のなかで挙げている「ヤンキー的アイテム」。


 ●初期のビートたけしと、彼の愛用していたセーターのブランド、フィッチェ・ウオーモ、さらにフィッチェのドン小西
 ●羽根付きのセダン、デコトラデコチャリ
 ●ダッシュボードのムートン、ヌイグルミ
 ●車のナンバーへのこだわり(ゾロ目、左右対称、一桁、連番)
 ●「光りもの」へのこだわり、車に装着するブラックライトやアンダーネオン、家の外壁のイルミネーション、あるいはルミナリエミレナリオ
 ●ジャージ、ゴールドのネックレス、セカンドバッグ、ジャンボカット
 ●ヴィトンのバグ、ピーチ・ジョンの下着
 ●ギャル雑誌「小悪魔ageha」
 ●成人式における純白の羽織袴、寅壱の作業服
 ●サンリオ、ミキハウス、ディズニーランド
 ●ドン=キホーテ、パチンコ屋、競馬場、地方の街道沿いのスーパー、ショッピングモール
 ●矢沢永吉BOOWY、B'z、GLAY、浜崎あゆみ
 ●工藤静香木村拓哉飯島愛高橋歩、相田みつお
 ●EXILE、KAT−TUN、ジャニーズ、ビジュアル系
 ●「クローズZERO」「ROOKIES」「ドロップ」などの映画
 ●ヤンキー文化に照準する小説家として桐野夏生赤坂真理。ルーツとしての中上健次


 「私はつねづね「銀蠅的なものを求める人は、どんな世の中になろうとも必ず一定数いる」と思ってきた。そして、その一定数とはかなり多いとも思う。あえて具体的数字を挙げるなら、自覚している人が一千万人、潜在的に求めているのは三千万人にのぼると推測する。なんと計四千万人、日本の総人口の三分の一が「銀蠅的なものに対してひかれがち」であるとは、何ともおどろきである。勝手に勘定してびっくりしてちゃ世話ないが」(ナンシー関「小耳にはさもう」)


小耳にはさもう (朝日文庫)

小耳にはさもう (朝日文庫)


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