桜庭和志「考えずに、頭を使う」PHP新書



 (以下引用)
 できるかぎり冷静でありたい。無関心を装うというわけではなく、努めて深く考えない。


 それは試合中でも同じこと。たとえ勝負の真っ只中であっても、リラックスできていないと、頭の回転が悪くなる。


 あえて自分にプレッシャーをかけて追い込んでいく選手もいますが、ぼくはそういうことはしません。プレッシャーによって実力以上の力を出せるようになるとは思えませんし、むしろ何かに押し込められるような気がして、いつもの自分が出せなくなるからです。


 プレッシャーとは別の緊張状態、たとえば怒りの感情でもダメージが生じます。感情に大きな振幅が起きると、それだけエネルギーを使うことになる。神経の一本一本が緊張するわけですから、筋肉運動とは別の負荷を与えることになるのです。


 格闘技の試合ですから、怒ると、どうしても殴る蹴るの応酬への展開しがちになる。そうなると、現実問題として身体的に痛いですし、ひいてはそれが精神的なダメージにもつながっていくのです。


 感情の起伏はなぜ起きるのでしょう。たとえば怒りは、反射的なものもありますが、たいていは挑発されたり、相手の態度や考え方が気に入らないといった理由がもとで生じるもの。


 でもそれは、いま自分が怒ったところで変わるものではない。変わらないことに取り組んでも意味がないのです。起きている現象にどう対処すべきか、それだけを冷静に思いめぐらせればいい。


 どのようなシチュエーションであれ、つねに、いま目の前にあることだけに冷静に向き合うのがいいと思うようにしています(26ページ)。



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