週刊ポスト2013年4月12日号「外資は早くも「売り逃げ」態勢に「安倍バブル崩壊」極秘レポート」



 2012年11月以来、日経平均株価が上昇していること受けての記事。日本の株価の上昇を支えてきたのは外国人投資家。すでに莫大な利益をあげた彼らは、早くも「売り逃げ」態勢に入っている、という。


 「カモ」は日本の投資家。株価の上昇につられ、最近になってやっと買いはじめた国内投資家は、高騰した株を売りつけられて、損をすることになるだろう、という内容である。


 一般週刊誌によくある投資記事だが、少々違和感を覚えた箇所があった。外国人投資家がバブルを作りだし、上がりきったら日本の投資家に押し付けて利益を回収する。それを記事は「実に迷惑な話」と書く。確かに見せかけの株価の上下に、実体経済が影響されるのは迷惑である。


 だが実際に株を保有し売買している人たちにとっては、外国人が買い始めたことは吉報なのではないか。外国人投資家が買わないと日本株は上昇しない。上昇トレンドこそ、最も利益をあげやすい局面。外国人が日本株市場に参入してくるこの時を、日本の投資家の多くは待ち望んでいたのではなかったか。 


 株価が上昇したら、高値で利益確定して、利益を回収したいのは誰でも一緒。外国人が売り逃げようとするのも合理的行動でしかない。そんなことは百も承知で、国内投資家は、この局面に乗るのである。記事は「結局損をするのは日本人ばかり」と書くが、「投資は自己責任」なのである。欲をかいて損をする投資家を被害者のように書くのは、ナイーブにすぎるとオイラは思う。


 悪の元凶のように書かれている「空売り」にしても、外国人のヘッジファンドだけがやっているわけではない。初心者以外なら、やろうと思えば誰でもできる。ベア型投信を買うという手もあるし、先物オプションもある。下落局面が気になるなら、先に利益確定するかヘッジすればいい。そもそも株式の売買などしなければ、直接的に損をすることはないのだ。市場に参加している人にむかって「〜が悪い」「〜のせい」というのは、自己責任の世界にはそぐわないとオイラは思う。