第65回徳島県高等学校演劇研究大会



 高校演劇の県大会が近い。


 ホール・大会事務局との上演前の打ち合わせがあった。部員に考えさせ、入念に確認をして、打ち合わせ会に臨むはずだったのだが、準備不足のため、顧問のオイラが主要な書類を整えて打ち合わせをおこなった。舞台平面図など、必要書類も、結局担当部員に書かせることができなかった。理想を言えば、もう少し早くに上演作品を決めて、部員のイメージをきちんと醸成する時間をとるべきだった。顧問がアタフタするのは、いい傾向ではない。こういう年には大きなポカが出ることを、オイラは経験上知っている。


 打ち合わせのミーティング会場で、事務局の吉田道雄先生から、県大会のチラシを受け取る(吉田先生、いろいろお世話になります)。13校中、11校が創作。今年も創作率が高い。チラシを作ってくれた富岡東羽ノ浦校の村端先生に教えてもらったのだが、コンクール出場校中に占める創作脚本の上演割合において、徳島県はダントツで「全国一」だそうだ。そういえば昨年度は16校中15校が創作だった。


 本県の高校演劇は、歴史的にも創作劇優位である。浅香寿穂、紋田正博、下川清など、歴代の有力顧問も創作を好んだ。いまも創作支援の取り組みは手厚い。県内高校生向けの戯曲コンクールがあり、県大会前には、劇作研究会がある。劇作研究会は、2日にわたって開催されて、毎日100人近くが集まり、他校生や他校の顧問からアドバイスをもらう。同じような場は6月のフェスティバル時にもある。加えて「オトナ劇作研」と呼ばれる、顧問のみが対象の研究会まである。


 「オトナ劇作研」は、オイラの勤務校の会議室で、毎年10月の休日の午後7時から午前2時くらいまで、酒が入るわけでもないのに、延々と、本読みと劇作の話をする。創作王国徳島にあって唯一の「既成派」のオイラだが、参加すると、各顧問の、様々なこだわりが聞けて興味深い。加えて、毎年やっていると、顧問の本読みのスキルが明らかに向上しているのが感じられる。本読みの様子をレコーダーに録音して持ち帰る顧問もいた。とくに今年はよく書けた脚本が何本かある。県大会が楽しみである。


 第65回徳島県高等学校演劇大会 (於 徳島県郷土文化会館あわぎんホール)


11月22日(金)


15:40〜 開 場


□16:00〜16:10 開会式


■16:20〜17:15 上演1 小松島高「北の一へ」
                   田上二郎作(顧問創作)
31HR担任黒川信吾。数学。すぐ怒鳴る。秋のある日、ラインでこんな呼びかけ。「6限数学はボイコット! 北の一へ集まれ!」


■17:30〜18:30 上演2 城北高「そばや」
                   仲谷憲作(既成)
学校帰り、そば屋を営む友人の家出、塾までの時間をつぶす高校生。ダラダラ、テキトー、くだらない。その中に、実は真理があるのです。


11月23日(土


 9:40〜 開 場


■10:00〜10:50 上演3 城ノ内高「ボリバールの旗の下に」
                   大窪俊之作(顧問創作)
H・チャベスの魂は空を翔る。大坂のビルの狭間、新世界、通天閣。夢に見た碧落にたどり着く「革命三部作」の完結編。


■11:05〜11:55 上演4 鳴門高「その街の高校生」
                   新居舞香原案/斎藤綾子作(顧問創作)
彼女が高校時代を過ごした街と友人たちはあの日消えてしまった。今、宮沢賢治と共にあの日の思い出が蘇る!


(11:55〜12:35 昼休憩)


■12:35〜13:25 上演5 池田高「男女6人冬物語
                   池田高放送演劇部作(既成)
舞台はとある人気番組。互いの尊厳とプライドをかけて戦いに臨んだ男女6人。本当の男女平等とは!?


■13:40〜14:30 上演6 城西高「真実の扉」
                   城西高演劇部作(生徒創作)
城西高校演劇部は、劇部作「真実の扉」を上演します。仲良し四人で出かけた肝試し。廃校で待ち受けるものとは・・・。お楽しみに!


■14:45〜15:35 上演7 海部高「Let's? What's? 部活!」
                   海部高演劇部作(生徒・顧問創作)
今年も部員不足で悩む演劇部。みんな、部活をしようよ! あれ? ちょっと待って。部活っていったい何?


■15:50〜16:45 上演8 城南高「愛〜宵待城の七化け小町!」
                   善本洋之作(顧問創作)
時は戦国!娘17可憐な胸に、幼な心の想い出秘めて、独り乗り込む魔の城に咲くは恋花!?いくさ花!?


11月24日(日)


 9:40〜 開 場


■10:00〜10:50 上演9 城東高「水銀の誕生日」
                   川真田夕起(生徒創作)
年に一回しかない「私」が生まれた誕生日。ケーキを食べて、プレゼントをもらって、適当にワイワイする、そんな一日のつもりだった。


■11:05〜11:50 上演10 板野高「memory」
                    古川拓弥/稲垣かおり作(生徒・顧問創作)
この場所を守りたいのに・・・。「データ化、データ化って、うるさい!」皆さんも、思ったこと、ありませんか?


(11:50〜12:30 昼休憩)


■12:30〜13:25 上演11 阿波高「サバ人の踊り方」
                    よしだあきひろ作(顧問創作)
火星移住計画も現実味を増してきたこの頃。「サバ人の湾」と名付けられた地域を舞台に、火星人たちが小さくうごめく55分。


■13:40〜14:30 上演12 徳島市立高「CONTRAIRE!!」
                    坂本政人作(顧問創作)
震災、復興(?)、景気回復(?)オリンピック、レイシズム。ああ、今の事かって? いえいえ、これは「いつかきた道」。


■14:45〜15:35 上演13 富東羽ノ浦校「夜帰」
                    川瀬太郎原案/村端賢志作(顧問創作)
自信ってどこからやってくるのだろう。これは文化祭前夜の学校へ忍び込んだ、光の当たらない人たちの物語。


□16:15〜17:15 講 評


□17:25〜17:45 閉会式


 審査員 土田英生氏(劇団MONO) 浅香寿穂氏(徳島市文化センター芸術監督)