TPPの目的は日本潰しであることをWikileaks暴露


 所得税はあげるし消費税はあげる、年金受給年齢は引き下げるが東電には優しく公務員制度改革はやらない、TPPには参加する。国民もなめられたものである。これなら政治が混乱している方が、まだましだ。そんなことを考えさせられる昨今、ブログ「天上大風」に「TPPの目的は日本潰しであることをWikileaks暴露」というエントリーを見つけた。元ネタをたどっていくと、日本農業新聞(!)というところのHPにたどり着いた。5月19日の記事なので、だいぶ前のものである。

[TPP反対 ふるさと危機キャンペーン TPP“主導国”] 米国外交公文から読む 本音と現実 上 (05月19日/日本農業新聞) http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=6738


 ニュージーランド外交貿易省のマーク・シンクレアTPP首席交渉官は「TPPが将来のアジア太平洋の通商統合に向けた基盤である。もし、当初のTPP交渉8カ国でゴールド・スタンダード(絶対標準)に合意できれば、日本、韓国その他の国を押しつぶすことができる。それが長期的な目標だ」と語った。(米国大使館公電から)


 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉でニュージーランドと米国は、農地への投資制度や食品の安全性などの規制や基準を統一した「絶対標準」を定め、受け入れ国を広げることで経済自由化を進めようとしている――。TPP交渉を主導する両国のこうした狙いが、在ニュージーランド米国大使館の秘密公電に記載されていた両国政府の交渉当局者の会話から浮かび上がった。ニュージーランドの交渉当局者は「絶対標準」を受け入れさせる国として日本と韓国を名指ししている。これは国内の規制や基準の緩和・撤廃につながり農業だけでなく国民生活の多くに影響を与える可能性がある。公電は、内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」が公表。ニュージーランドの当局者らへの取材と合わせて分析した結果を報告する。


 2010年2月19日、ニュージーランドのシンクレアTPP首席交渉官が、米国務省のフランキー・リード国務副次官補(東アジア・太平洋担当)に語った内容だ。シンクレア氏は、TPPの目標が農産物などの市場開放だけではなく、アジアなどで推進する米国型の経済の自由化が両国(アメリカ合衆国ニュージーランド:古田注)の長期的利益につながると強調した。


 公電は、ニュージーランドウェリントン市内で行われた両者の会談の概要を、当地の米国大使館がまとめた。「秘密」扱いだ。外交を担当する国務省だけでなく、農務省や通商代表部などにも送るよう記述してある。

 ニュージーランドは、一次産品の輸出に依存する経済。酪農製品、肉類、林産品、水産物などは、国際競争力も高い。その点では、アメリカ合衆国と立場を同じくする。日本や韓国のように、国土が狭く、大規模な集約化が難しい農業は、TPPやFTAなど、国際的な自由貿易のルールのもとでは衰退は必至。また、農業だけではなく、金融・サービス・外国人労働者規制など、あらゆる分野で日本独自の政策を取れなくなる。


 TPP参加が日本の国力を衰退させることは確実だと多くの識者が述べているのに、参加を進めようとするこの国の指導者は何なのだろう。恐ろしく感じる。


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 ※追記と訂正


 10月14日付「TPPの目的は日本潰しであることをWikileaks暴露」のエントリーに関して、mtnさんから指摘いただいた。


 Wikileaksの発言は、日本がTPPに参加すれば日本から利益を搾り取れるという意味ではなく、この8ケ国でTPPを締結すれば(日本はその中に入っていない)、TPPに参加していない日本や韓国その他の国々に対して、8ケ国が優位性を保つことができると言っているのだ、と。


 オイラはニュージーランドのTPP主席交渉官が「日本がTPPに参加すれば、日本から利益を搾り取れるぞ、しめしめ」と言っていると解釈してエントリーを書いていた。元記事は日本農業新聞5/19。この記事は「受け入れ国を広げることで経済自由化を進めようとしている」と書いてあったからだ。


 ところがWikileaksの全訳の載っているサイトで確認したが、そんなことはどこにも書かれていない。むしろニュージーランドのTPP主席交渉官は「新たなTPP参加国を加えることについてのスタンスを尋ねたところ、彼は現時点での交渉については少ないほど望ましいとの見解であった」と書いてある。When asked what New Zealand's position is on including new members, Sinclair put forth that "smaller is better" for the current deal. (http://gmx1020.blogspot.com/2011/06/journal-tpp-httpwikileaks.html


 よって、日本農業新聞の記事の信憑性には疑問あり。この記事によったオイラのエントリーは、早とちりであることを認めたうえで訂正します。このWikileaksの記事は、日本をTPPに誘いこんで、利益をしぼりとろうと画策していると書いてあるわけではありません。